経営再建中の中国不動産大手、恒大集団が米連邦破産法第15条の適用を申請した。実は、恒大集団に続き、同社よりさらに規模の大きな碧桂園に債務不履行のリスクが高くなっている。ドミノ倒しのようにデベロッパーのデフォルトが起きると、不動産バブルははじけ、デフレ気味の中国経済はさらに冷え込む。そして、中国を震源地に、世界の経済と金融市場が不安定化する可能性は否定できない。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
中国最大手デベロッパーの資金繰りがひっ迫
中国の不動産セクターで、債務不履行(デフォルト、約束した通りに利息、元本の支払いが行われないこと)のリスクが急上昇している。中国最大手の不動産開発デベロッパー、碧桂園(カントリー・ガーデン・ホールディングス)の資金繰りが想定以上にひっ迫しているという。
不動産市場の低迷が、中国経済に与えるインパクトは大きい。7月に開催された中央政治局会議にて共産党政権は、「不動産の需給関係に重大な変化が生じた」との見方を示した。習近平政権が、不動産セクターの管理ができていなかったことを認めた格好だ。不動産市況の悪化によって、地方政府の債務問題も深刻化している。雇用、生産、個人消費なども悪化した。
不動産セクターをエンジンにして発展してきた中国経済は、目下、不動産バブルがはじけ飛ぶ危機に直面している。債務返済のために、経済全体で「バランスシート調整」(資産価格が大幅に下落した後の経済主体の支出活動が抑圧されるプロセス)が加速するだろう。
中国はわが国と異なり、生活の安心と安定を支えるセーフティーネットが十分とはいえない。展開次第では中国を震源地に、世界の経済と金融市場が不安定化する可能性がある。