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プレイステーション4はビジネスになるのか?
「家庭用ゲーム機終了説」を検証する

石島照代 [ジャーナリスト]
【第36回】 2013年3月5日
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台湾、香港、そして中国…
ソニー復調のカギを握るアジアビジネス

 しかし、欧州の金融不安も沈静化しない状況が続いていることから、先進国の市場拡大は期待できず、よくて横ばいであることは関係者の認識が一致するところだろう。そこで、ソニーは新興国市場、特に台湾、香港を中心とするアジアと中南米市場の掘り起こしに力を入れているという。

 アジア・中南米市場はどれほどの価値があるのだろうか。昨年6月に全世界60ヵ国以上で同時発売され、累計出荷本数が80万本にせまるPS3、Xbox360用ゲームソフト「ロリポップチェーンソー」を例に、制作・著作元である角川ゲームスの安田善巳社長に聞いたところ、二つの地域を合わせると全世界累計販売本数の17%程度のシェアを占めているという。角川ゲームスは、1月末に行われた台北国際ゲームショーで、プレイステーション3用ゲームソフト「KILLER IS DEAD」の中文化ローカライズも発表しており、中南米地域及びアジア地域(日本を除く)は、コンシューマゲーム市場として急成長を遂げているのは間違いないようだ。

 また、中国日報が、約10年間禁止していた家庭用ゲーム機ビジネスの解禁が検討されていることを報じた1月28日には、アジアでのビジネス拡大を期待してか任天堂、ソニーなどの株価が上昇した。任天堂の岩田聡社長も、翌日開催された2012年度第3四半期決算説明会で中国市場について問われた際、「まだ状況が変わったという認識はないが、状況が変われば動ける準備はしている」と回答している。

 アジア市場の橋頭堡となっているのは香港と台湾だ。そのうちの台湾について、「Taipei Computer Association」東京事務所の吉村章氏は、「2003年ごろからPCゲームをオンラインで楽しむユーザーが急増し、現在は台湾で「ゲーム」というとPCユーザーが圧倒的に多い」という。そのため、現在の家庭用ゲームソフト市場規模はスイスと同程度の約150億円しかないが、対中国市場を見据えて台湾に対する業界関係者の期待は高まっている。

 とはいえ、台湾、中国を含むアジア各国はコピー商品が跋扈し、コンテンツビジネスが成り立たない地域として知られている。また、特に中国大陸でのビジネスは2006年~2007年に盛り上がるものの一度頓挫している経緯もあり、一筋縄ではいかないとみる関係者は多い。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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