日本製家電の販売不振には
反日以上にスマートフォンが影響
中国で日本の家電が売れない。
家電・カメラメーカーの9月中間決算発表では多くの企業で中国での販売不振が明らかとなり、キヤノンとソニーからは「中国での反日の影響」に関するコメントがあった。反日デモが本格化したのは9月中旬からであり、各ショップがこぞって特別価格を提示する国慶節商戦期は10月1日からなので、次の決算にも反日の影響が少なからずあることは間違いない(ただし今年の国慶節は連休が長かったこともあり、人々の消費はモノよりも旅行に向いたため、日系企業に限らず全般的にモノが売れなかったと報じられている)。
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しかし、日本の家電が売れないのは、反日デモ以上にスマートフォンの影響が大きい。
中国ではスマートフォンが売れている。リサーチ会社の易観国際(Analysys International)によれば、2012年第3四半期(7~9月)のスマートフォン売上は4917万台。うち9割がAndroid搭載スマートフォンだ。一方、日本での市場規模は2012年第2四半期(4~6月)で携帯電話の出荷台数が788万台、うち65.3%がスマートフォンだ。計算してみるとなんと9.5倍もの開きがある。
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スマートフォンが売れた背景には、通信キャリアが定期契約の代わりに機種代金を負担する、「1円ケータイ」ならぬ「1元ケータイ」がスマートフォンにも及んでいる側面もあるし、中国メーカーのファーウェイ、ZTE、酷派(Coolpad)、レノボらが、安価でそこそこの性能の製品をリリースして人気を得たという側面もある。ファーウェイは今年、世界で6000万台、うち中国に2000万台のスマートフォンを出荷するとしている。
またタブレットに関しても、日本での今年上半期は193万台で、うちiPadが118万台だ(MM総研調べ)。中国では四半期だけでiPadが207万台、以下レノボ27万8000台、サムスン14万3000台など、全部で282万台となっている(IDC調べ)。単純計算でその差は約3倍だ。