会計に関する最低限の
知識は持っておきたい
よく考えていただきたいのですが、株主優待を出すということは、結局のところ会社の価値を切り売りしているだけに過ぎないのです。これは身の丈以上の高配当を出す会社も同じです。
もちろん、配当や株主優待によって出ていくお金以上に、ガンガン稼げる会社であればまだマシですが、利益が横ばいだったら、配当や株主優待は将来的に株価を下げる要因でしかないのです。
会計に関する知識を持っていれば、この程度のことはすぐに分かるものです。でも、多くの人が会計のことを知らないから、高配当銘柄や株主優待銘柄を有難がって投資するのです。株式の個別銘柄に投資したいのであれば、会計に関する最低限の知識は身に着けることです。出来れば、証券アナリスト試験の1次を通る程度の知識を持っていた方が良いでしょう。
ちなみに、ここまで申し上げたのは、私のような長期投資を前提にした株式投資をする場合の話です。短期で売買するのであれば、会計の知識はほとんど必要ないので、好きなように売ったり買ったりを繰り返せば良いでしょう。ただし、それはあくまでもギャンブルであるということだけはお忘れなく。
参考記事
カリスマファンドマネジャーは
コロナ相場をどう見ているか
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』(ダイヤモンド社)など