韓国では光復節をはじめ、公休日には国旗の掲揚が奨励されている。一軒家であれば玄関先に、アパート(日本の大型マンション)にはベランダに、国旗を掲揚できるフックが付けられている。各家庭に国旗があることが前提になっているのも日本から見れば驚きであるが、韓国でも家庭での国旗の掲揚は減少していて、今回の光復節でもほぼ数える程度の掲揚しか確認できなかった。こうしたところにも「光復節」への認識の変化を感じる。

 そして前項の「光復節をについてよく知らない」に加えて、もう一つ「光復節当日の過ごし方」についての項目も注目を集めていた。「(光復節に)日本に旅行に行こうが個人の自由である」という回答が約29.5%に上り、世代の内訳ではZ世代が一番多かった(32.6%)のだ。

愛国者の模範を求められる芸能人も
「日本旅行を楽しむことも自由」になりつつある

 そんな中で、女優のコ・ソヨン(1972年生まれ、50歳)が家族旅行でこの時期に日本に訪れた様子をSNSにアップしたことも目を引いた。コ・ソヨンの夫は、元祖韓流スターのチャン・ドンゴンで、韓国ではおしどり夫婦としても知られている。

 最近の日本ブームの波に乗って、SNSで日本旅行の様子を投稿する韓国人が増えている。彼女の投稿もその意味では珍しくないのだが、今回注目が集まったのは、旅行の時期が光復節と重なっていたからだ。指摘の声や報道を受け、SNS上で「時期に対する配慮が足りなかった」と謝罪のコメントを発表した。

 韓国の場合、特に芸能人は「愛国者」の模範であることが求められ、それが暗黙の了解のようになっているのを感じる。例えば俳優のヒョンビン(1982年生まれ、40歳)は、兵役で自ら海兵隊を志願し、厳しい任務をまっとうし、「愛国者の鑑」のように称賛された上、好感度がさらに上がったことは日本でも知られている。

 他の芸能人も愛国者としての振る舞いが求められるのは同じだ。光復節の日の芸能人の投稿には韓国の国旗である「太極旗」がアップされるなど、国への忠誠を示すようなものが多いのはこうした事情による。

 ただでさえ、現代はSNSなどを通じて情報が瞬く間に広がり、発言が一部切り取られて本来の主旨とは違った形で伝えられることも多い。「愛国者」であることが当然のように、常に世間からその言動を注視されている芸能人たちも気苦労やいかにと思う。