新型コロナウイルス流行に端を発した労働需要の高まりは落ち着きつつある。景気を巡る懸念はくすぶり続けている。それでも企業は人員削減を急いではいない。米労働省が29日発表した7月の雇用動態調査(JOLTS)によると、求人件数は季節調整済みで880万件となり、前月(920万件)と前年同月(1140万件)をいずれも下回った。求人倍率は1.5倍で、雇用が好調だった2019年の平均が1.2倍だったことを踏まえると、求人件数は依然として高水準にある。それでも、労働市場が実際に冷めつつあることが改めて示された。自発的な離職者の数も350万人に減少した。前月は380万人、前年同月は400万人だった。自発的離職率は2.3%と、21年1月以来の低水準で、19年の平均に並んだ。離職率の低下はとりわけ米連邦準備制度理事会(FRB)にとって朗報だ。労働市場のひっ迫度を測るには、離職は求人より適した指標かもしれない。自発的に仕事を辞めるのは通常、もっと良い仕事が見つかったときで、たいていは賃金も高い。