「会社に対する不満が蔓延している」、「なぜか人が辞めていく」、「社員にモチベーションがない」など、具体的な問題があるわけではないけれどなぜだかモヤモヤする職場になっていないだろうか。そんな悩みにおすすめなのが、近年話題の「組織開発」というアプローチだ。組織開発では、「対話」を通してメンバー間の「関係の質」を向上させていく。そんな組織開発のはじめ方を成功事例とともに紹介したのが、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(中村和彦監修・解説、早瀬信、高橋妙子、瀬山暁夫著)だ。本記事では、発売前から話題沸騰となっている『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の出版を記念して、内容の一部を抜粋し再編集してお届けする。

「何をやっても結果が出ないチーム」が抱えている意外な共通点Photo: Adobe Stock

「勝ち筋」が見出しにくい時代へ

 ビジネスにおいては、かつてのような確率の高い「勝ち筋」が見出しにくくなり、業績が思うように伸びない。多くの業界、多くの企業が、その悩みを抱えています。

 他方で、コロナ禍や働き方改革の進展が示すように、職場の環境、メンバーの構成、働き方そのものも大きく変わってきました。

 かつては正社員が中心になって回ってきた企業組織は、この20年ほどのあいだに、業務委託や派遣・アルバイトなど、多様な立場の人が関わり合うようになりました。

 ウェルビーイングやSDGsなどの新しい考え方も台頭し、企業といえども経済性だけを中心に置くことができない現実もあります。

 仕事のルールが複雑化し、しかもなかなか結果が出ない。そのようななかで、メンタルの不調に陥るメンバーも少なからず現れるようになった。転職、離職も、止めようがないほど増えてきた。

 このように、「良いチームや良い組織」であり続けることが難しい現状です。

 こうした状況下で、単に仕事のテクニックに関わる課題ばかりではなく、人の気持ちやコミュニケーションのありようにまで関わる課題が組織には山積みになっています。いろいろなことが同時多発的に動き、変化しているので、まずは一人ひとりが何を思っているのか、何にモヤモヤしているのかをみんなで確かめ合っていくことが必要です。

 モヤモヤの多くには、人の気持ちや行動、メンバー同士の連携が関わります。それらを総合的に扱えるのが、組織開発なのです。

(本原稿は、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の内容を抜粋・編集したものです)