「会社に対する不満が蔓延している」、「なぜか人が辞めていく」、「社員にモチベーションがない」など、具体的な問題があるわけではないけれどなぜだかモヤモヤする職場になっていないだろうか。そんな悩みにおすすめなのが、近年話題の「組織開発」というアプローチだ。組織開発では、「対話」を通してメンバー間の「関係の質」を向上させていく。そんな組織開発のはじめ方を成功事例とともに紹介したのが、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(中村和彦監修・解説、早瀬信、高橋妙子、瀬山暁夫著)だ。本記事では、発売前から話題沸騰となっている『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の出版を記念して、内容の一部を抜粋し再編集してお届けする。
「声の大きい人」「偉い人」が場を支配してしまう、そんな状況を変えるには
組織開発は、始まりからゴールまで、すべての過程が「対話」によって進められます。
組織開発の文脈で使われる対話の目的は「関係づくり」となります。そこでまずは、安心安全に対話ができる環境を整えていく必要があります。
対話の現場でしばしば起こるのが、「声の大きい人」「偉い人」が最初のひと言を発すること。これによって場の空気が決まってしまうことです。
すると、「声の大きい人」や「偉い人」に合わせた意見しか出てこなくなります。
そこで、「紙に書く」という方法は、テーブルの上に参加者全員の意見を載せる、という意味でも効果的です。
これなら、たとえ新入社員であっても思うところを伝えることができます。小さな声を拾うことができ、順番に話を聞こう、という流れをつくることもできるでしょう。
対話の原則となるルールについては、グラウンドルールを決めることが大事です。グラウンドルールとは、その場が建設的なものになるようにするためのルールです。
たとえば、「人の発言を否定しない」など、メンバーの心理的安全性を確保し、忌憚なく本心を明かすことができる場の決まりを設定します。
(本原稿は、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の内容を抜粋・編集したものです)