「会社に対する不満が蔓延している」、「なぜか人が辞めていく」、「社員にモチベーションがない」など、具体的な問題があるわけではないけれどなぜだかモヤモヤする職場になっていないだろうか。そんな悩みにおすすめなのが、近年話題の「組織開発」というアプローチだ。組織開発では、「対話」を通してメンバー間の「関係の質」を向上させていく。そんな組織開発のはじめ方を成功事例とともに紹介したのが、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(中村和彦監修・解説、早瀬信、高橋妙子、瀬山暁夫著)だ。本記事では、発売前から話題沸騰となっている『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の出版を記念して、内容の一部を抜粋し再編集してお届けする。

最高のチームの3つの共通点「①目標達成ができる」「②元気がある」、もう1つは?Photo: Adobe Stock

「良いチームや良い組織」の「良い」とは、どのような状態を指すのでしょうか。それには3つの観点があると言えます。

① 【効果性】目標達成ができる

 企業組織であれば、「予算を達成する」「ヒット商品を開発する」「品質を安定させる」などが想定できます。スポーツチームであれば「試合に勝つ」ことでしょう。

 つまり、組織として成果を上げられるかどうか、「効果性」という観点です。

 組織開発では、関係する人々が共に活動するため、納得して目標に向かって動くチームができていきます。その結果、目標達成に素早く近づけるようになるのです。

② 【健全性】明るくイキイキ元気がある

 目標達成ができる組織の共通点は、「コミュニケーションがきちんと取れている」「助け合える」「教え合っている」など、明るくイキイキしていることです。

 つまり、組織が「健全性」を保てているか、という観点です。

 組織開発では、人と人との関係性を築きながら組織のプロセスを見直していくので、人間関係が深まり、支援関係が生まれるためメンバーは元気になっていきます。

③ 【継続性】良い状態を自分たちで継続できる

 目標を達成し、明るく元気がある。でも、人事異動で課長が替わったら、チームの雰囲気が変わり、以前ほど活気がなくなってしまった。結果として、業績も振るわない……。これでは困りますね。

 企業に限らず、組織での行動は長く続いていくべきものです。たとえリーダーが替わっても、あるいは先輩が卒業しても、新しいメンバーが入ってきても、同じように明るくイキイキした雰囲気を変えず、目標を達成し続けていく。

 つまり、組織の風土をつくり上げ、それを維持していく「継続性」という観点です。

 メンバーの入れ替わりがあったとしても、自分たちに合った組織プロセスをつくり、残った人で継承できることが理想です。必要に応じて再び組織開発を行うことで、良い改善を続けられるようになります。

 これら3つの条件を満たし、「良いチームや良い組織」であり続けるために、組織開発は効果を発揮します。

 また、その時々の外的な条件や、メンバーのメンタル状態などを要因として、3つのどれかが欠けてしまったり、レベルが下がってしまったりすることもあります。

 人の健康状態に好不調があるように、チームや組織にもそれが起こります。

 目標達成ができなかった。元気のないメンバーがいる。そんなときに、話し合いによって本来ありたい状態と現状のどこに差があるのかを見つけ、回復の手立てを考える。それも組織開発の大事な役割になります。

(本原稿は、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の内容を抜粋・編集したものです)