「宝くじで1等を当てて、大金持ちになりたい」という願望は、誰しも一度は抱いたことがあるのではないだろうか。実際、街の宝くじ売り場で「○億円出ました!」というような宣伝文句を見ると、「買っておけばよかった…」とつい思ってしまうものだ。
しかし、宝くじで大金を手に入れても、お金の使い方を誤って“悲惨な人生”に転落するケースは後を絶たない。なぜ彼らは、不幸な境遇へと落ちていってしまうのだろうか?
今回は、「読むと人生が変わる」「『金持ち父さん貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている、全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』より一部を抜粋・編集して、宝くじが当たって150億円を手に入れた男性の「悲惨すぎる末路」をご紹介する。(構成/根本隼)

【実話】宝くじが当たって150億円を手に入れた男性の“悲惨すぎる末路”Photo:Adobe Stock

一夜にして億万長者になった男

 宝くじで1等を引き当てるという幸運を手にしながらも、そのせいで金銭感覚が乱れて無駄づかいに走ったり、高額な詐欺に遭ったりと、当選前よりもむしろ不幸になってしまうケースは一定数存在する。

 全米屈指のデータサイエンティストであるニック・マジューリ氏の著書『JUST KEEP BUYING』でも、アメリカで1等3億1400万ドル(現在のレートで約450億円、当時の史上最高額)を当て、税引き後に1億1300万ドル(約150億円)を受け取った男性ジャック・ウィテカー氏の“悲惨すぎる末路”が紹介されている。

 ちなみに、独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年発表している『ユースフル労働統計』の2022年版によると、日本人の平均生涯年収は、大学・大学院卒の男性で約2億6200万円。つまり、多くの日本人男性が一生かけて稼ぐ額のなんと50倍以上ものお金を、ウィテカー氏は一夜にして手にしたということだ。

 普通に働いているだけでは到底手に入らない超大金を労せずして手に入れた人たちが、その後に悲惨な人生を歩んでしまうのはなぜだろうか。
 
 ここからは、本書より一部を抜粋・編集して、ウィテカー氏の悲惨すぎる末路と、その心理的問題点を紹介する。

分別がある人でも、お金で人生が狂う

 ジャックが賞金を手にしてから2年も経たないうちに、ジャックの孫娘が死んでいるのが発見された(薬物の過剰摂取によるものと見られている)。妻とは疎遠になり、ジャックはギャンブルや娼婦に湯水のごとく金を使った。結局、賞金はすべてなくなった。

 「なんだ、宝くじの当選者が道を踏み外したというよくある話か」と思ったかもしれない。だが、ジャックのケースは少しばかり話が違う――彼は、すでに金持ちだったのだ

 そう、人生を変える宝くじを買う前から、ジャックには1700万ドル以上の資産があった。ウェストバージニア州の請負会社社長として事業で大きな成功を収め、すでに多額の報酬を得ていた。

 このエピソードを紹介したのは、十分な良心、経歴、分別のある人でさえ、お金で人生を破綻させることがあると伝えたかったからだ。

(P.367~368)

自分が裕福だと気づいていれば…

 ジャック・ウィテカーは悪い人間ではなかった。妻と孫娘を愛していたし、教会にも通っていた。宝くじに当選した直後に、非営利財団の設立資金として数千万ドルも寄付していたくらいだ。

 それでも、誘惑には勝てなかった。お金にはこれほどまでに、人を変えてしまう魔力がある

 皮肉にも、ジャックがすでに自分が十分に裕福だと気づいていたら、こんなことにはならなかっただろう。ジャックは自分のことを金持ちではないと思っていた。なぜそれがわかるか?

 1700万ドルもの資産を持っていたのに、宝くじを買っていたからだ。ジャックは人一倍貪欲な男だったといえるのかもしれない。だが私は自身の経験から、人は自分の豊かさに気づくのが困難なことを知っている。
(P.368)

(本稿は、『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集して構成したものです)