ここ数年、日本では「お金」にまつわる不安が渦巻いている。「老後2000万円問題」というトピックが過去に話題になったが、賃金が伸び悩むなかで物価ばかりが上昇し続けると、生活水準はどんどん悪化し、必要な老後資金の額も増えていく。いま多くの日本人が、「投資」に関心を向けているゆえんだ。
そこで注目を集めているのが、「金銭的自立を目指す全ての人が読むべき」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている、全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。今回は、本書の内容をベースに、定年後も月収30万だった著者の祖父が「無一文」で死んだ“残念すぎる理由”を明かす。(構成/根本隼)

定年後でも30万円の月収があった祖父が「無一文」で死んだ“残念すぎる理由”Photo:Adobe Stock

“JUST KEEP BUYING”とは何か?

 本書のタイトルにもなっている、 “JUST KEEP BUYING”とは、全米屈指のデータサイエンティストとして活躍している著者のニック・マジューリ氏が提唱する、「自動的に資産が増え続ける投資哲学」だ。

 その意味するところは、「ただ買い続けなさい」という極めてシンプルなメッセージ。マジューリ氏はこのアイデアを、動画投稿サイトYouTubeのチャンネル登録者数を増やす秘けつとしてネットで紹介されていた「ジャスト・キープ・アップローディング」(とにかく動画を投稿し続けなさい)というアドバイスから着想したという。

 データサイエンティストであるマジューリ氏は、短期的な変動はあるものの長期的には成長し続けている米国株式市場での適切な投資行動と、YouTubeチャンネル運営上のヒントを結びつけて、“JUST KEEP BUYING”というモットーを引き出したのだった。

月収30万だった祖父が「無一文」で死んだ“残念すぎる理由”

 しかし、マジューリ氏の祖父は、賢いお金の使い方はできなかったようだ。彼の祖父は、仕事を引退後も、日本円でおよそ30万円もの月収があったにもかかわらず、その祖父は2019年に他界する際に「無一文」で亡くなったという。

 原因は、ギャンブルだ。競馬やトランプにハマり込んでいた祖父は、リタイア後の26年間で手にした収入のほとんど全額をギャンブルに費やしたのだった。

 これを聞いたほとんどの人が、「もっとましなお金の使い道があっただろう」と思うだろう。当然ながら、孫のマジューリ氏も同感だった。ただ、データサイエンティストである彼の場合はさらに、「もし祖父がギャンブルなどではなく投資にお金を向けていたら、どうなっていただろう」と分析した。

 ここからは、本書より一部を抜粋・編集して、貯金や浪費ではなく「投資」にお金を継続的に使うと、どのくらいの資産を築けるのか、マジューリ氏の分析をご紹介する。

収入の半分を株に投資していたら?

 もし、祖父が老後の生活における毎月の収入の半分(どのみちギャンブルで消えていくはずのお金)を米国株式市場に投資していたらどうなっていただろう? どんな違いが生じるのか?

 祖父は、死ぬときに百万長者(投資資産が100万ドル以上ある人)になっていたはずだ。引退後、収入の半分をギャンブルに投じながらも、残りの半分を株に投資しただけで一財産を築けたのだ。

 しかも、投資のかなりの部分は、米国株式市場における史上最悪の10年間の一つ(2000~2009年)の間に行われていたことになる。

 それでも、毎月株に投資していれば、祖父はギャンブルという最悪の習慣があったにもかかわらず、大金を手に入れられたのだ。もちろん、重度のギャンブル依存症ではない人でも、祖父と同じ方法で投資をすれば、多額の富を築ける。

 この場合、祖父は実質的に、本書の主張の核心である、重要な「投資哲学」に従っていたことになる。祖父が亡くなる数年前、私はふとした偶然で、このアイデアに出会った。

 それは、たった3語から成る、あなたをお金持ちにしてくれるアイデアだ。

JUST KEEP BUYING ジャスト・キープ・バイイング(ただ買い続けなさい)

 重要なのは、とにかく株を買い続けることだったのだ。
(P.9~10)

(本稿は、『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集して構成したものです)