サムスンら大手ベンダーが新端末の発表を見送り<br />新興勢力の中国勢には未だ“ビジョン”見えずMWC会場と近くにある伊東豊雄氏設計のホテル・ポルタ・フィラ Photo by Tatsuya Kurosaka

 スペイン・バルセロナで開催されているケータイ産業の世界的な展示会「モバイル・ワールド・コングレス(Mobile World Congress、以下MWC)」に、今年も参加してきた。

 昨年も本連載で取り上げているが、私がMWCに参加するのは、かれこれもう6回目くらいになる。バルセロナは、日本から一番遠い欧州の主要都市の一つであり、最短でも移動に16時間近くを要する。出発日に誕生日を迎え、紛う方なきアラフォーに入った私にとっては、少しばかりしんどさを感じる旅となった。

 しかし、いざ訪れてみると、やはり今年も参加してよかった、というのが全体的な感想だ。やはりMWCに来ないと世界的なトレンドは分からないし、端末はもちろん、基地局などの通信機器に関しても、新たな動きが構造化されつつあることが、よく分かった。

 そしてそれらは、ガラパゴス状態を脱した日本の通信産業全体にとって、もはや看過できない動向でもある。そうした断片を、今回と次回の2回に分けて、お伝えしていこう。

MWC外しの顕在化

 まず、端末の動向については、つまらなかったというのが、率直な印象である。

 いま、世界中のスマートフォン市場を牽引している端末メーカーが、アップルとサムスン電子であることを疑う人は、いないだろう。しかしそのアップルがMWCにいない。