クルーズ客船の乗客は地域経済の最大の原動力となる場合があるが、同時に最大の悩みの種にもなる。船旅の観光客は朝に客船から降りてきて店や街路を埋め尽くし、地元の税収を満たして夕方に去って行く。だが一部の寄港地では、クルーズ客がすることといえば写真撮影ばかりで、最大の消費は船内のためにとってある、との不満も出ている。アラスカ州ジュノーやメーン州バーハーバーをはじめとする米国の港湾都市では、地方自治体が巨大客船とその乗客の管理に力を入れている。アムステルダムやバルセロナなどの住民は「クルーズ公害」の影響に抗議し、大型船の寄港禁止を提案している。こうした議論はハワイやベネチアなどでも起こっており、住民は観光への過度の依存に不満を抱いている。