暗闇の中に立つビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

かつて問題児だった先輩が
大規模店の支店長に出世

 黙っていれば、いつの間にか支店長になれる。そんな時代ではなくなった。支店の数は年々縮小の一途をたどり、支店長のポスト自体がそもそも減っているからだ。椅子取りゲームの椅子は確実に少なくなっている。

 先日、入行して最初に着任した吹田支店の先輩から電話があった。たまたま私が受電したのだが、三十数年ぶりの「再会」だった。

「おお、目黒か。久しぶりやないか!」
「お久しぶりです。お元気ですか?」

 話を聞くと、都内大規模店の支店長になっているという。支店長としても3店目だそうだ。この先輩は私の1年上。当時はとんでもない問題児だった。営業中に昼寝をし、集金の約束をすっぽかし、私がその尻拭いに行かされた。「融資の稟議書を手伝え」と言われて先輩の寮部屋に徹夜で缶詰め。麻雀のメンツが足りないと駆り出され…。ろくでもない思い出ばかりなのだが、その先輩が今では大規模店の支店長を歴任している。

「先輩、随分ご活躍のようですね? すごいじゃないですか!」

「わしか? たまたまや。運が良かっただけや。目黒は預金課長か、苦労したなあ。お前なんか真面目やし、もっと偉くなると思ってたわ。まあ、運よ、運。奥さんによろしくな」

 豪快さだけは相変わらず。30年の年月が彼を変えたのか、それとも言葉そのまま運が良かっただけなのか。