自分ファーストな支店長が
人事権を握ることの危険性
2000年代後半、自ら応募して支店長などの希望するポストに立候補する人事制度が始まり、たくさんの副支店長や課長が名乗りを挙げて支店長になった。この制度を使ってトップ出世で支店長になるのが、最年少で30代半ば。ぼちぼち、平成生まれの支店長も現れるだろうし、すでに登場しているのかもしれない。
30代半ばというのは、恥ずかしながら私がやっと課長代理になれた年だ。そこからさらに数年かかって課長になった。やっと自分も人並みなところに追いついたかと思いきや、営業職を解かれ失意の底に沈んだのが40代前半。
自ら支店長にチャレンジするからか、立候補者には優秀な者が多い。また、経験が浅くても持ち前のバイタリティーでカバーし、忠誠心の高い三本槍(やり)だか何本槍だかの「軍師」や「家臣」が就くことで、支店という組織は順回転する。正に「職位は人を育てる」という言葉が当てはまる。早く支店長になれば、それだけ多くの支店に支店長として着任できる。40代前半ともなれば、2~3店の支店長を歴任して、さらに上位職を展望できよう。
問題は、支店長が優秀ではない場合だ。ただのバカ殿、自分ファーストな支店長であれば、部下の将来的なキャリア形成を考慮した指導育成などするわけがない。自分の上司である支店長が評価し薦めてくれたことを忘れ、自分の実力で支店長になれたと勘違いしているからだ。
そのような者に人事権を与えるのは、幼児に刃物を持たせるに等しい。部下を生かすも殺すもその支店長に気に入られるかにかかってくるのは、あまりに危険だと感じる。