明確な境界線を設けることで、板挟みになるのは避けられません。
 家族はあなたの行動を許してはくれないでしょうし、どんな人間にも良心はあると思っている人たちにも賛同してもらえないでしょう。

 さらに、あなたを助けて問題を解決してあげたいという、「他人の欲」と戦うことになるでしょう。
 他人はあなたの家族の関係性を、あなたではなく、自分たちが満足できるような形にしたいのです。

 ここで疑問が出てきますね。なぜ他人が、あなたの家族の関係性に満足する必要があるのでしょう。箱にきちんときれいに収まっていないものに違和感を覚えて据わりが悪いからでしょうか?

 実際、自己満足のためだけに、自分の思う家族との「いい関係」を再構築する手伝いを申し出てくる人もいるでしょう。

 ですが、自分を守るのに必要な境界線を設けるのに、他の人の承認や許可など必要ありません。
 
唯一必要なのは、自分の安全を確保しなければと訴える自分の心に耳を傾けることです。

 自分自身の生き方に関わることなら、他人よりも自分の声を聞くようにしましょう。
 
簡単ではありませんが、あなたに必要な境界線を設けるとき、誰かに許可を求める癖をなくすには有意義な練習です。

 許可は、あなた自身が与えればいいのです。
 あなたが生きるのは他の誰でもない、あなた自身の人生なのですから。

 家族は、あなたが自分たちに対して境界線を設けるのを快く思わないでしょう。自分たちの望むやり方が通らないのは我慢ならないはずです。

 なぜなら、彼らが気にするのは自分たちから見たあなたとの関係性であって、あなたから見た彼らとの関係性には興味がないのですから。

 ですが、今こそ、あなたにとって何が許容できて何が許容できないのか、自分自身のために決断をするときです。

シェリー・キャンベル(Sherrie Campbell, PhD)
毒家族に苦しむ人々を救う心理学者であり、家族との絶縁を手伝う専門家として全米で知られている。かつてBBM Global NetworkとTuneIn Radioで自身のラジオ番組「Dr. Sherrie Show」を主宰していた。講演者、SNSのインフルエンサーとしても知られ、メディアにも頻繁に取り上げられている。

※本稿は、シェリー・キャンベル著 髙瀨みどり訳『幸せになるには親を捨てるしかなかった』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。