高島屋Photo:PIXTA

新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は丸井グループ、三越伊勢丹ホールディングス、J. フロント リテイリングなど「百貨店」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

百貨店5社の決算が
コロナショックから大復活!

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の百貨店業界5社。対象期間は2023年2~6月の四半期(J. フロント リテイリングと高島屋は23年3~5月期、その他4社は23年4~6月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・丸井グループ
 増収率:4.8%(四半期の売上収益535億円)
・三越伊勢丹ホールディングス
 増収率:16.8%(四半期の売上高1187億円)
・J. フロント リテイリング(大丸松坂屋、パルコ)
 増収率:14.1%(四半期の売上収益935億円)
・高島屋
 増収率:4.2%(四半期の営業収益1056億円)
・エイチ・ツー・オー・リテイリング(阪急阪神百貨店)
 増収率:3.7%(四半期の売上高1548億円)

 新型コロナウイルス感染拡大によって大打撃を受けてきた百貨店業界の5社は、いずれも四半期増収率がプラスとなった。中でも、三越伊勢丹ホールディングス(HD)とJ. フロント リテイリングは2桁増収と好調だ。

 また、今回分析対象とした5社は利益面も前年同期の実績を上回った。コロナ禍に伴う業績悪化からの反動増の影響には注意が必要だが、各社が着実に復活しつつあるのは確かなようだ。

 そして5社の中には、第1四半期終了時点で早くも23年度の通期業績予想を上方修正している企業が3社ある。

 その3社には、第1四半期の営業利益が「前年同期比で約7倍」と大幅に伸びた企業も含まれているが、果たしてどの会社なのか――。

 次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、「営業利益7倍&業績上方修正」を達成した企業の実名を明らかにする。