昇進は通常、会社での地位を確固たるものにする節目と考えられている。しかし必ずしもそうではないことが、新たな調査で明らかになった。人事管理システムを手掛けるADPによると、多くの従業員が初めての昇進の直後に退職している。同社の研究所は2019~22年に米労働者120万人以上の職歴を分析し、29%の人が最初の昇進後1カ月以内に仕事を辞めていることを明らかにした。昇進を経験していない同様の労働者の離職率は推計18%だった。分析対象となったのは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の時期、つまり労働市場が過熱し、労働者が仕事を辞めては新しい仕事を見つけることを繰り返した時期だ。この調査結果は、昇進は労働者を引き留めるどころか、時には離職リスクになることを示している。忠誠心を促すための主な手段の一つである昇進は必ずしも効果的でないとみられ、雇用主にとって労働者の維持がいかに困難であるかを浮き彫りにしている。