優先順位の基準はその場で変わっていくもの

 すでにデビューした芸人やNSC(お笑い養成所)でも活躍する生徒を見ていると、仕事ができる人は優先順位の基準をいくつか持っています。

 たとえば、仕事ひとつを取っても「速さ」が求められているのか、「丁寧さ」が求められているのか、「自分らしさ」が求められているのかは違います。このように、どこに比重を置いて優先順位をつけていくのかひとつひとつ決めているのです。これはわかっていても簡単にできることではありません。

 なぜなら、多くの場合、どの仕事もまずは速く仕上げることを誰もが無意識に優先してしうからです。もちろん、素晴らしいことではありますが、なんでもかんでも速さを意識してしまうと「もう少し丁寧にやってほしいのにな」と相手に思われてしまうこともあります。自分なりに優先順位をつけて取り組んだのに空回りに終わってしまったら、非常にもったいないでしょう。

 つまり、大事なのは、今、目の前にある仕事で求められていることは何なのかひとつひとつ判断することなのです。場合によっては、速さよりもも締切まで時間を目一杯使って丁寧に仕事をした方がいいかもしれません。

 要するに、仕事ができる人は都度、自分に求められているその仕事の意味をきちんと解釈し、その都度、違った優先順位をつけてから仕事に取り掛かっているのです。

 この「仕事の意味を考える」というのは当たり前のことですが、できているかどうかはまた別の話です。私も慣れた仕事のときはつい忘れそうになってしまいます。

 ですが、仕事をするうえでの大事な基礎ですから、今一度覚えておいていただけると幸いです。