信越化学、東レ、旭化成らが減収・大減益の中、日本ペイントだけ増収・大増益を果たせたワケPhoto:PIXTA

新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は信越化学工業、旭化成などの「化学」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

化学業界5社で分かれた明暗

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の化学業界5社。対象期間は2023年2~6月期の四半期(5社の対象期間はいずれも23年4~6月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・信越化学工業
 増収率:マイナス8.8%(四半期の売上高5992億円)
・日本ペイントホールディングス
 増収率:7.6%(四半期の売上収益3627億円)
・旭化成
 増収率:マイナス2.9%(四半期の売上高6507億円)
・三菱ケミカルグループ
 増収率:マイナス4.1%(四半期の売上収益1兆612億円)
・東レ
 増収率:マイナス4.6%(四半期の売上収益5781億円)

 化学業界4社が前年同期比で減収となった。一方日本ペイントホールディングスだけが7.6%増と好調だ。なぜ日本ペイントホールティングスだけが増収で、その他4社は減収に陥っているのか。

次ページ以降では、この差の要因を見るほか、各社の増収率の推移を紹介する。