アサヒビールPhoto:PIXTA

新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はキリンホールディングス、アサヒグループホールディングス、サッポロホールディングスの「ビール」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

ビール3社とも増収も
利益面は好調とはいえない

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のビール業界3社。対象期間は2023年2~6月期の四半期​​(3社とも23年4〜6月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・キリンホールディングス
 増収率:3.9%(四半期の売上収益5199億円)
・アサヒグループホールディングス
 増収率:6.4%(四半期の売上収益6967億円)
・サッポロホールディングス
 増収率:7.6%(四半期の売上収益1298億円)

 ビール業界3社全てが増収となった。これは新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行したことにより、外食需要が増えたことが大きな要因だ。

 ただ、各社の23年12月期上半期(23年1〜6月)の利益面を見ると、アサヒグループホールディングスのみが増益だが、残る2社の利益面は好調とはいえない結果となっている。キリンホールディングスは純利益が4割超の減益、サッポロホールディングスは最終赤字の幅が前期からさらに拡大してしまったのだ。

 その事情について、次ページで詳しく解説する。