高度な知的労働の半分が自動化可能
3つのレポートが予測する「大変化」
ChatGPTなどの生成AIが人々の仕事にどのような影響を与えるかについて、幾つかの調査・分析が行われている。
一つはChatGPTの開発者であるオープンAIとペンシルベニア大学の研究者によるものだ。さらにアメリカの投資銀行であるゴールドマン・サックスによるもの。そして3つ目はコンサルティング会社であるマッキンゼーによる調査だ。
これらの分析の結論を総括して、生成AIが人々の仕事に与える影響の大きさをごく概略的に言えば、全体の少なくとも2割程度の労働力がAIによって代替されることになる。もし実際に代替されて職を失えば、失業率が20%程度になる。これは途方もなく大きな影響だ。
また高度な知的労働では失業率が50%になる。これは破壊的としかいいようがない。
マッキンゼーの分析結果を報じた記事(Bloomberg、6月15日付)のタイトルは、「AIブーム最大の被害者は知識労働者」というものだが、まさにその通りだ。
これらの分析や予測は主としてアメリカの場合についてのものだ。そして一方では生成AI活用による自動化で生産が増えGDPなどが増えることも考えられる。だが日本では生成AIの影響が、負の面についてもプラス面でもこれほど大きいとは認識されていない。このことがまずは大きな問題だ。