三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅の五大商社は全社がChatGPTの活用に取り組んでいる。どのようなシーンで使われているのか?特集『コピーですぐに使える!ChatGPT100選 職種別・業種別・部署別』(全32回)の#14では、商社の現場でのChatGPTの活用事例を紹介しよう。鋼管取引や人事総務部門、投資判断など、日常業務に幅広く活用は広がりつつある。住友商事が実際に使っているプロンプトも紹介する。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
伊藤忠に生成AIの「同僚」が登場、将来は会議の司会役も
7月から伊藤忠商事にある“社員”が加わった。
その名は、眼鏡を掛けた黒犬アイコンの「I-colleague」くん。伊藤忠が今春から取り組んでいる生成AI活用の社内プロジェクトの一環で、全社員が見られる社内ポータルの画面に常駐し、クリックすると生成AIが利用できる仕組みだ。
「伊藤忠は大手商社の中で最も社員が少ない。生成AIは社内知識を持った『同僚』として社員の仕事を手助けしてくれる存在」(山地雄介・IT・デジタル戦略部DXプロジェクト推進室リーダー)である。
今後総務や人事など社内手続きの問い合わせや、社内資料の検索機能を段階的に追加していく。将来的には「会議に参加させ、運営を担わせ、発言もする」機能も実装する。最初に会議のアジェンダ情報を読ませ、会議の開始ボタンを押すと、議題と決定すべき事項を読み上げる。15分経過するとサマリーの作成を開始。会議終了後は次のアクションに向けたToDoリストを作成──。こんなAIが仕切る会議が将来は実現しそうなのだという。
「社内資料や会議記録などが生成AIで自由に引き出せるようになると、異なる部署間で情報共有が進み、新事業の創出が活性化される」(鳥内將希・情報産業ビジネス部ITビジネス第一課)との期待もある。
三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅の5大商社の全てが何らかの形で導入しているChatGPT。実際に現場で活用している社も出てきている。総務部門での活用から、ベテランに聞かなければわからない業務のノウハウや、重要な経営判断にも適用できるのだ。次ページから詳細に見ていこう。