子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では、船津氏のこれまでの著書から抜粋して、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

親が指摘することで子どもは自分の強みを意識しだす

 賢い親たちは、子どもの強みを見極め、その上で習い事を選択させています。

 では、強みを見極めるにはどうすればよいのでしょうか。

 強みとは、言い換えれば「人とは違う部分」です。

 身体的な特徴、性格、関心・興味などの部分で人と違う部分を見つけることが大切な一歩になります。

 たとえば、「身体が大きい」「すばしっこい」「負けず嫌い」「集中力がある」「優しい」「社交的」「マンガが好き」「ゲームが好き」「動物が好き」「絵を描くのが好き」「歌がうまい」など、これらの特徴が強み(正確には「強みの芽」)になります。

 そして、子どもにその強みを認識させるのです。

「負けず嫌いは特別な才能なんだよ」、「集中力は人に負けない武器だよ」、「社交的な人は将来成功するよ」など、具体的に伝えます。すると、子どもは必然的に強みを意識しだし、実際にその部分が伸びていくのです。

 その「強み」を活かせる習い事に参加させると、コーチや周囲の親からも「◯◯君は負けず嫌いで、強いね!」などと褒めてもらえます。

 他者(特に大人)から褒められると、子どもは自分の強みへの自信を深め、その部分がさらに大きく伸びていきます。

 子どもの頃に親や親戚、先生から言われた「何気ない褒め言葉」は印象深く残るものなのです。

「強み」と「弱み」は表裏一体

 では、より具体的にどんな観点で強みを見ていくとよいのでしょうか?

 次のリストを参考にしてみてください。

Points 子どもの才能を見つける
・一番喜んだり、嬉しい顔をするのはどんな時か
・一番長く集中できるのは何をしている時か
・文字と絵、どちらにより興味を示すか
・数字と文字、どちらにより興味を示すか
・話すことと聞くこと、どちらが好きか
・どんなおもちゃで遊ぶのが好きか
・どんな本(マンガ)を読むのが好きか
・誰と遊ぶのが好きか
・一人の時に何をしているのが好きか
・友だちと遊ぶ時にどのような役割をしているか(リーダー、仲介、フォロワー)
・家の中と外、どちらで遊ぶのが好きか
・友だちと遊ぶのと一人で遊ぶ、どちらが好きか
・子どもの身体的特徴(容姿を含む)は何か
・子どもの性格を一言で表すと

 このような観点から考えてみると、子どもの強みが見えてくるでしょう。

 そもそも、物事は表裏一体です。

 たとえば「のんびりしている」という性格も、見方を変えれば「気が長い」「がまん強い」「優しい」といった長所になります。

「強情」は「自分を持っている」「芯が強い」「意志が強い」。「落ち着きがない」は「行動的」「エネルギッシュ」といったように、それを短所とするか長所とするかは、紙一重の違いなのです。

 賢い親は、「うちの子どもはふつうだから……」などと決して言いません。その子の特徴を認め、いい面を見出し、言葉に出して褒めて伸ばしていきます。

 反対に、親が子どもの悪い芽に目を奪われていると、その裏にあるいい芽がつぶされて(小さくなって)しまうのです。

 間違っても、「うちの子どもには才能がない」などと言ってはいけません。その言動が子どもの才能にふたをしているのだと気づき、強みの芽に目を向け、子どもの可能性を信じて接していくことです。

 (本原稿はToru Funatsu著『すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。』から一部抜粋・編集したものです)