男性の更年期障害――最近メディアなどでよく見聞きするようになった。更年期といえば女性特有のものというイメージがあったが、トラブルに苦しんでいる男性が近年増えている。そのメカニズム、症状、治療法などを探る。(取材・文/フリーライター&エディター 東野りか)
男性更年期障害は、
気合いと根性で治る⁉︎
「男性更年期障害の症状は、20世紀前半ごろから、血中にあるテストステロン(男性ホルモン)の減少で起こることがすでにわかっていました。主な症状は、ほてり、のぼせ、発汗、動悸、頭痛、関節痛、冷え、疲れやすさ、不眠、意欲低下、抑うつ、不安などで、女性の更年期障害と似たようなトラブルが心身に起こります」
市ヶ谷ひもろぎクリニック院長で男性更年期障害の専門医である土井直人先生によると、昭和以前の日本人男性は、更年期症状を訴えると「男のくせに」とか「女々しいことを言うな、気合いと根性で治る」などといった、非合理なマッチョイズムに支配されていた傾向があり、不調があってもなかなか口にできない人が多い傾向があるという。
では、最近のジェンダー平等の機運から更年期障害を訴える男性が増えたのだろうか。
2022年の厚生労働省が集計した『更年期症状・障害に関する意識調査』によると、更年期症状を自覚している人の日常生活への影響の問いに対して、「とてもある」と「かなりある」を合わせた割合は、女性では40代で11.7%、50代で6.9%、男性は40代で10.6%、50代で8.4%。さらに「少しある」を合わせると、女性は40代で33.9%、50代で27.1%、男性は40代で30.6%、50代で25.1%となった。
性差はほとんどないので、もはや女性だけのトラブルでないのがわかる。さらには現代人に多い症状だと、土井先生は解説する。その主な理由は何なのだろう。