服をあわせる男性写真はイメージです Photo:Sammyvision/gettyimages

これまで「かっこいい」「美しい」を演出する側として、ファッションの世界で数多くのスタイリング、ディレクションを務めてきました。そこで行き着いたのは、何を着ていても、どんなファッションをしていても、その人の人間性が表れるということ。そして、その人間性はファッションとともに磨かれるということです。連載『伝説のスタイリスト・近藤昌の「人生を変える装い」』の第5回では、おしゃれから離れてしまった40代、50代がどのようにファッションを磨いていけばいいのか? コーディネートの前にいちばん大切な考え方についてお話しします。(スタイリスト&ファッションディレクター 近藤 昌)

ファッションは最大の発信ツール

 ファッションの広告画像は、たった一枚に切り取ったシーンで世界観を演出します。その世界に憧れてまねをする人もいれば、自分の好きな服を好きなように着ている人もいるでしょう。

 もちろん誰もがおしゃれに関心が高いわけではありません。「子どもにお金がかかるので、ファッションに投資できません」「仕事も家庭も忙しく、おしゃれする暇がありません」「もういい年なんで、見た目に凝ってもねぇ……」という人も多いでしょう。

 しかし、ファッションに無頓着になってしまったという人も、洋服にはその人の内面が表れているということを知ってもらいたいです。

 例えば、SNSでは言葉や画像で、自分はどういう世界の住人かを演出できます。何を発信するかでその人がどんな人間かを判断されてしまうのだとしたら、毎日の最大の発信ツールはファッションになります。何を着ていても、他人は一目で無意識に、敏感に、あなたの内面を想像します。

 誰もが「こうしたい、こうなりたい、こう生きたい」というものを持っています。それはどんなファッションをしていても表れてしまうものです。昔からファッションは個性を表すといわれていますが、その意味をもう少し深掘りしてみましょう。