朝日新聞記者が「32歳」で会社を辞めて探検家になったワケ大企業で働き、高い年収をもらっているのになぜ退職を決めたのか Photo:PIXTA
*本記事は本の要約サイト flier(フライヤー)からの転載です。

おすすめポイント

 退職理由というのは、社内では「一身上の都合」に落ち着きがちであり、親しい間柄でもなかなかすべてを聞く機会がないものである。本書は、意外とタブー視されがちな退職理由に焦点を当てた、YouTubeコンテンツ「なんで会社辞めたんですか?」の書籍版である。当時テレビ東京の高橋弘樹が聞き手となり、6人の「退職者」たちとトークを繰り広げる。登場するのは番組プロデューサーの佐久間宣行、宇宙飛行士の野口聡一、探検家の角幡唯介など、会社を辞めてからも活躍している人たちばかりだ。

朝日新聞記者が「32歳」で会社を辞めて探検家になったワケ『なんで会社辞めたんですか?』 竹中平蔵・安田秀一・佐久間宣行・高橋弘樹・角幡唯介・後藤達也・野口聡一著・日経テレ東大学編著 東京ニュース通信社刊 1,650円(税込)

 彼らはいずれも大企業で働き、高い年収をもらっているのになぜ退職を決めたのか。要約者は本書を読むまで、会社との軋轢や、もっと稼げる見込みがあったのではという下世話な予想をしていた。しかし、その予想は見事に外れた。人生のより深い部分を求めた先にあったのが、「退職」という選択だったのだ。

 本書では退職理由をはじめ、そもそもの入社理由や家族関係、今後の収入ややりたいことなどが赤裸々に語られる。面白いのは、結果として聞き手である高橋本人がテレビ東京を退職することになったことだ。本コンテンツの影響が多分にあることは、想像に難くない。

 日経テレ東大学のYouTubeは2023年3月に配信を終了しているため、ファンにとっては嬉しい一冊だ。今現在会社員の人はもちろん、すべての働く大人や、これから社会に出ようとする若者にも読んでほしい。(菅谷真帆子)