井出豪彦
今週の日曜日、「味の素スタジアム」(東京都調布市)で世界的サッカー選手、アンドレス・イニエスタ氏(40)の引退試合として「EL CLASICO in TOKYO」が行われる。スペインプロサッカーリーグ1部の伝統の一戦、「FCバルセロナ」vs「レアル・マドリード」が日本で初めて、両チームの伝説の選手たちを集めて開催されるのだ。しかし、このイベントを主催する企業の資金繰りが変調をきたしている。

自動車部品大手の「マレリグループ」といえば、株主である米大手投資ファンドのKKRとメインバンクのみずほ銀行が強力なタッグを組んで経営再建を支援しているというのが一般的な認識だ。ところが、みずほフィナンシャル系列のリース会社が債権売却で撤退。額面上の融資残高もみずほ銀行はトップではなく、「みずほが銀行団をコントロールできる状態ではなくなった」との声も上がる。マレリが再び経営危機に陥るようなことがあれば、協調支援体制に影響が生じる可能性もある。

【独自】ジャニーズ「NGリスト」問題で社内調査結果が判明!東山・イノッチの指示が無視されたワケ
昨年10月2日、都内のホテルで「ジャニーズ事務所」(当時)が記者会見を行った際、「NGリスト」なるものが作成され、流出したのは記憶にあたらしい。このほど会見の運営を受注した外資系PR会社の「FTIコンサルティング」の社内調査がまとまったことがわかった。解体的出直しを誓ったはずのジャニーズで、なぜこんなことが起きてしまったのか。その裏側を明らかにする。

証券取引等監視委員会は6月28日、東証スタンダード上場の老舗電線メーカー「三ッ星」(大阪市中央区)の株式の取得を巡り、「大量保有報告書」を提出しなかったなどとして、(株)シンシア工務店(東京都新宿区、6月千葉市若葉区より移転)、(株)和円商事(東京都中央区)および同社代表A氏の3者に、金融商品取引法違反で合計98万円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告した。内訳はシンシア工務店32万円、和円商事26万円、A氏が40万円。決して大きな額ではないが、企業買収の関係者には大ニュースだ。なぜか。

東京地検特捜部は6月5日、税務顧問契約を結ぶ法律事務所の弁護士34人から約8700万円をだまし取ったとして、東京の税理士を逮捕した。税理士が弁護士をだましたとされる異例の事件だが、取材を進めたところ、被害に遭った法律事務所は国内有数の大手とみられ、さらに逮捕された税理士は有名作家の親族であることが明らかになった。

鹿児島県唯一の百貨店である「山形屋(やまかたや)」が借入金の返済に行き詰まり、グループ会社16社とともに私的整理の一種である「事業再生ADR手続き」に入っていることがわかった。複数の関係者が認めた。

後継者難などで悩む中小企業を次々買収してきた「MJG」(東京都港区、本社の外観写真あり)で、昨年11月に代表の田邑元基氏が解任される“クーデター”が発生した一件について、筆者は前回のダイヤモンド・オンラインの記事で報じた(なお、MJGは昨年10月にいったん、日本マニュファクチャリングホールディングスと社名を変更していたが、今年2月再び社名をMJGに戻した)。MJGでは一体何が起きているのか。2月の臨時株主総会と取締役会を経て代表に復帰した田邑氏が取材に応じた。

後継者難の中小企業に対して、M&Aを活用して廃業してしまうのを回避しようとの機運が高まっている。「日本M&Aセンター」をはじめとするM&Aの仲介会社が売りたい会社と買いたい会社をマッチングして、事業承継を後押ししているのは周知の通りだ。しかし、なかには急ピッチで多くの会社を買収してしまった結果、管理体制が追い付かず、買い手側の経営がおかしくなってしまうケースも出てきた。

自動車部品大手の「マレリ」(さいたま市北区)がふたたび資金繰り不安に直面していることが分かった。持株会社で金融機関からの資金調達窓口である「マレリホールディングス(HD)」(同)が1月16日にバンクミーティングを開催し、足元の厳しい資金状況などについて説明したという。

「麻布台ヒルズ」が11月24日に開業したが、麻布通りに面する住宅中心のタワー「レジデンスB」は準大手ゼネコンの三井住友建設がまだ工事中だ。2023年3月末の工期を2024年6月末に大幅延長したものの、再び延期する可能性も出てきた。さらに、三井住友建設が設計・施工を請け負う、住友不動産と京王電鉄が開発する都内の大規模マンションでも、工事が止まっていることが判明した。

大手パチンコチェーンの「ガイア」(東京都中央区)とグループ6社が10月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債はガイア単体ベースで792億円(7月31日現在、ただしこのうち「公租公課」13億円は8月31日現在)、グループの簡易連結ベースでは1133億円(5月31日現在)となり、パチンコ業界では過去最大級の大型倒産となった。

2021年から上場企業の監査報告書にKAMの記載が義務化された。KAMとは「Key Audit Matters」の略で、日本語では「監査上の主要な検討事項」という。監査の透明性向上により監査報告書の情報伝達手段としての価値向上を図る目的で、鳴り物入りでスタートした制度なのだが、最近あまり話題にならない印象だ。しかし、東証プライムに上場する中堅ゼネコン「日本国土開発」の今年5月期の有価証券報告書に添付された、トーマツによる監査報告書のKAMに興味深い記述を発見した。

有力な産業資材メーカーで、社会人野球の強豪チームを持つことでも知られる「カナフレックスコーポレーション」(大阪市北区、年商66億円)の経営不安が高まっている。これまでもたびたび支払いの変調などが取り沙汰されてきたが、ここにきて複数の工場不動産に債権者の金融大手、オリックスが「仮差し押さえ」に踏み切ったことがわかった。

日銀が7月20日に発表した「主要銀行貸出動向アンケート調査」の結果、銀行の融資態度を示す指数である「貸出運営スタンスDI」が約14年ぶりの低水準となったという。今回の結果になった理由について筆者には思い当たることがある。日銀のアンケート期間の直前に、都内の中小企業が長年にわたる大がかりな粉飾決算の末に事実上倒産し、地銀を中心に50近い数の金融機関が焦げ付く事件が発生したのだ。このような事案があれば、中小企業向け融資はさらに慎重になるだろう。銀行界をパニックに陥らせた倒産劇はなぜ起きたのか、解説する。

建築工事会社の「明幸」は5月26日、東京地裁に破産手続き開始を申し立て、6月14日に開始決定を受けた。負債は10億5200万円で、東京商工リサーチによれば今年上半期(1-6月)の全国の建設業倒産のうち、負債額で3番目の大きさだという。その破産申立書を入手したところ、暴利ともいえるヤミ金に手を出して資金繰りが急速に追い詰められていくさまが生々しく記述されていた。

日産自動車を主力得意先とする自動車部品大手の「河西工業」(東証プライム上場)が苦境に立たされている。今年3月期の決算では4期連続最終赤字となり、自己資本比率は7.7%に低下。決算短信での企業存続リスクに関する記述は正式な財務諸表上の注記に格上げされ、しかも24年3月期の業績予想は「非開示」となった。こうした中、主要な借入先の金融機関にも動きが出ており、今後、さらに厳しい局面を迎える可能性もある。

準大手ゼネコンの三井住友建設が5月10日、2023年3月期決算を発表。前年度に引き続き、2年連続の最終赤字となった。さらに借入金の財務制限条項にも抵触し、決算短信には企業存続リスクについて記載することとなった。2期連続赤字の大きな要因の一つとみられるのが、森ビルなどが進めている東京・港区の「麻布台ヒルズ」の建設工事の遅れである。すでに巨額損失を出していると思われ、さらなる工期の遅れを指摘する声も聞こえ始めている。

千葉県の有力医療法人である医療法人社団心和会が4月4日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、経営破綻した。裁判所に提出された「民事再生手続開始申立書」で明かされた驚きの内幕とは。

山口県岩国市「玖西(くせい)地区」での山口県発注土木工事の一般競争入札を巡り、不当な入札排除の疑いが浮上している。地場の大手2社しか実質的に落札できない仕組みとともに、同地区における一部業者だけが甘い汁を吸える構図についても解説する。

2月9日、千葉県の医療法人の理事長から3000万円を脅し取ったとして、恐喝容疑で右翼団体の会長(50)と会社役員のM(51)の両容疑者が警視庁公安部に逮捕された。県内で複数の大規模病院を経営する医療法人で、一体、何が起きているのか、事件の背景について詳しく解説する。
