親子関係の問題は、家庭という閉鎖的な空間で生じるものだからこそ、解決が難しいといえます。
外部の目には一見、理想的な家族に見えていても、実はその中にいる当事者にとっては地獄に等しい親子関係であるケースも多々あります。
自分にとって「害になる親」、つまり毒親からは逃げるしかない、とは言われますが、実際に毒親との絶縁は簡単なことではありません。絶縁してもなお追いかけてくる毒親、周囲からの残酷な言葉……ここでは実際に毒親と絶縁した経験を持つ著者が、同じ悩みを持つ人々へ苦しみから抜け出す糸口を綴った書籍『幸せになるには親を捨てるしかなかった』から抜粋し、再構成して紹介します。
有害な人を引き寄せる人の特徴
虐待にあったことのある人は、新しい人間関係を築く際にも、相手の心に寄り添おうとしない、愛情にむらがある人を引き寄せてしまうことがよくあります。
そのせいで、うまく機能しない人間関係から抜け出せず、誰からも愛されないといった辛い感情を思い出すことになります。
虐待サバイバーは何よりも、自分を支え、肯定してくれる、心を満たす人間関係を欲しています。にもかかわらず、そんな人間関係をなかなか築けないのはなぜなのでしょうか。
いくつか考えられる理由を挙げます。
○過去に家族から虐待を受けた。
無意識にあなたを育てた人と似たタイプの人に引き寄せられ、子ども時代の痛みをそのまま抱え続けるのはごく自然なことです。
あなたは混沌とした環境で常に緊張しながら育ち、そんな混沌とした状況に不健全な愛着を持ってしまうのです。
緊張状態には中毒性があります。そんな状態を解決したいと願う気持ちもまた手放しがたい感情です。あなたはその誘惑を振り切れずにいるのです。
○誠実で、疑われると傷つく。
常日頃から周りに批判され、現実を捻じ曲げられて生きてきたために、自分の意見や感情やアイディアを周りに信じてもらえるか、受け入れてもらえるか、強い自己疑念と不安に駆られます。
その恐怖から、自分の見解を信じてもらいたいときに、下手に出すぎて相手の言いなりになってしまうことがあります。
○無償の愛など存在しないと思っている。
あなたは期待に応えることでしか愛情を受け取れませんでした。そして大人になってからの人間関係にも、この間違った公式を無意識のうちに当てはめてしまっているのです。
そのため、あなたにやるべき仕事を課してきて、しかもそれを不満に思うことを許さないような人を選びがちです。
○完璧主義のきらいがある。
どれほど頑張っても足りないと感じるせいで、頑張りすぎてしまうことがあります。何でもかんでも頑張りすぎてしまうと、周囲から「使える人間」だと思われて利用されてしまいます。
誰かの言葉で「自分は完璧じゃない」と思ってしまったら、反射的に行動してしまうでしょう。よく言われるように、完璧主義は身を滅ぼします。
○他人の世話を焼きたがる。
毒家族は普通の家族とは何もかも逆です。毒親や兄弟、その他の親戚は、不合理なストレスや問題を子どもや他の家族に負わせることに何の疑問も感じません。
そのため、あなたにとっては家族の世話をするのがあたり前になっており、他人に対しても世話を焼く癖が出てしまうのです。
○自分の考えを主張したり、境界線を設けるのが苦手。
精神的虐待を行う家庭において、自分自身の意見を主張することは一切許されていません。自分のために声を上げた瞬間、あなたの努力は無視され、非難され、罰せられたでしょう。
そのせいで、人間関係においても、人に批判されたり、拒絶されたり、捨てられたり、罰を与えられたりすることを恐れています。
そういった反応を恐れるあまり、境界線を設けることも怖いのです。
○捨てられるかもしれない状況を避ける。
見捨てられることを恐れながら育ったため、捨てられないためなら何でもするでしょう。たとえあなた自身を犠牲にしてでも。
それによって共依存的な関係に発展します。
拒絶されるのを恐れるあまり、真実の愛よりも偽りの安心感を求めてしまうのです。
これらはすべて、不承認が原因となった悪循環です。