国土交通省が9月19日に発表した2023年の都道府県地価調査(7月1日時点)によると、全国の全用途(住宅地、商業地、工業地)平均は前年から1.0%上昇し、22年から2年連続での上昇となった。上昇率の高い地点を見ると、東京圏では千葉県船橋市、市川市、神奈川県厚木市、大阪圏では兵庫県尼崎市、京都府久御山町、名古屋圏では愛知県小牧市など、物流拠点の集積エリアが目立っており、依然として物流施設の建設需要が地価上昇の要因のひとつになっていることが伺える。(カーゴニュース編集部)
インバウンドと半導体が地価上昇をけん引
都道府県地価調査は、毎年7月1日時点での地価を調査しているもので、今年は全国2万1381地点を調査した。それによると、全用途平均が2年連続での上昇となったほか、用途別の全国平均では、住宅地が0.7%(前年比0.6ポイント増)、商業地が1.5%(同1.0ポイント増)となり、伸びが加速した。
都市部を中心に、コロナ後の人流回復によって店舗需要が回復傾向にあることに加え、インバウンドの回復で観光地を中心に地価の上昇傾向が見られた。
また、大手半導体の進出が決定した地域では、従業員向けの住宅用地に加え、関連企業の物流施設を含めた事業用地の需要も旺盛となっており、住宅地、商業地、工業地とも軒並み高い上昇となった。
具体的には、今年2月にラピダスの進出が決定した北海道千歳市やその周辺、台湾TSMCが進出する熊本県菊池市、大津町、菊陽町はいずれも地価上昇率の上位に名を連らねている。これらの地域は今後、物流事業者の進出がさらに加速していくが、地価上昇に加えて人件費の高騰など運営面での難しさも予想されそうだ。