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2030年度末予定の北海道新幹線・札幌延伸に伴って生じる「鉄道貨物輸送」に関する課題について関係者間の議論が進んでいる。これまでは経済合理性を巡ったものが中心だったが、7月の会合で新たに「国防」観点での言及があったことは注目に値する。ロシアリスクの顕在化など不安定な国際情勢が続く中で、国防や防災面からみた貨物鉄道機能の必要性という視点は、一定の重みを持ちそうだ。(カーゴニュース編集部)
北海道新幹線延伸に伴う鉄道物流とは
国土交通省、北海道庁、JR貨物、JR北海道の4者で構成する「北海道新幹線札幌延伸に伴う鉄道物流のあり方に関する情報連絡会」は7月26日、これまでの議論を踏まえた形で論点整理を行い、「少なくとも札幌延伸開業時においては、海線(函館線の函館~長万部間)の維持により、貨物鉄道機能を確保する方向性が妥当ではないかとの点に異論はなかった」として、海線がJR北海道から経営分離された以降も、何らかの方法で貨物鉄道機能を維持すべきとの方向性を示した。
その一方、「(海線を維持する場合でも)解決する課題は多岐にわたり、かつ、関係者間の複雑な利害調整を要する」「段階を踏みながら、ハイレベルな意思決定が不可欠」とも明記。年内にも有識者をメンバーに入れた検討会議を立ち上げ、2025年度中に最終的な結論を得ることを確認した。
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