ここ30年間、日本人の給料はほとんど上がっていない。
しかし物価もほとんど上がらなかったから、我々は呑気に過ごすことができた。
茹でガエル状態というやつだろうか。
ところが2022年からインフレの波が止まらない。
食費も燃料費も信じられないくらいどんどん上がっていく。
このままでは日本人は飢え死にしてしまうのか?
いや、こんな時代でもお金を稼ぐ方法はあるはずだ。
話題の書『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』南 祐貴(セカニチ)から、不遇の時代をたくましく生き抜く知恵を学びたい。

「日本株」に未来はあるか?イラスト・ゆん

日本経済を牽引する企業「ソニー」

 日本代表の経営者20人は日本企業の未来をどう見ているのだろうか。

 アサヒグループホールディングス・東京エレクトロン・旭化成・富士フイルム・日本電産・東京海上日動火災保険・TDK・ANAホールディングス・セコム・ニトリ・三菱地所など、歴史を作ってきた経営者20人が口を揃えて社名を挙げた日本企業がある。「ソニーグループ」(以下ソニー)だ。

 ヤバい日本の未来は、ソニーにかかっているとセカニチも考えている。

 世界No.1の時価総額Appleが擁するiPhoneカメラの「眼」であるイメージセンサー(画像を認識する半導体)は、ソニー製だ。ソニーのCMOSイメージセンサーは世界トップシェアの約50%を誇っている。地球上の約80億人が毎日使うカメラ/見る映像と考えると約50%のシェアがどれほど巨大か理解できる(約40億人が毎日触れている…!)。2位のサムスン(韓国)とは2倍近くの差が開いている。もし地球にソニーがなかったら、iPhoneからカメラが消滅し、世界中のカメラが消え、テレビ、YouTubeも何も映らないことになる(日本のテレビ番組や映画はほぼソニー製のカメラで撮影されている)。ソニーのカメラがあるから、私たちは不自由なくテレビ、SNS、スマホで毎日映像を見ることができている。

Appleにとっての最重要企業

 世界No.1のAppleにとって、ソニーは最重要企業だ。ソニーは2011年からiPhone用のカメラセンサーを製造しており、最新機種iPhone 14 Proに搭載されている48MPメインカメラに採用されたクアッドピクセルセンサーの製造も担う。iPhone15以降もカメラの中身はすべてソニー製だろう。

 2022年末、ティム・クックCEOが来日した。ソニーの精密センサー製造工場の訪問が、今回の訪日の最重要事項だった(ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング熊本テクノロジーセンター=熊本県菊陽町)。AppleはクックCEOの訪日と同時に「2022年から過去5年間で日本のサプライチェーンに1000億ドル以上(13兆円以上)の投資を行った」と発表した。世界No.1企業が日本にもたらす経済効果は、たった5年で13兆円以上だ。今後もこの金額は増え続けるだろう。クックCEOの訪日後に両社の社長はこのようなコメントを残している。

 クックCEO「世界最高水準のカメラセンサーと、絶え間ないイノベーションの推進に向けたお互いのチームの協力を目にすることができた」。
 吉田憲一郎CEO「最先端のイメージセンサーの製造現場を見てもらい、技術開発や活用の方向性について意見交換できたことは大変有意義だった」。

日本の未来は「半導体」にあり

 クックCEOが訪問したソニー熊本テクノロジーセンターからほど近いエリア(熊本県菊陽町)に歴史的な半導体の工場が新設される(2023年後半に完成予定)。台湾の世界的半導体メーカー・台湾積体電路製造(TSMC)が主導し、ソニーG、デンソーの3社が力を合わせる。総投資額は1兆1000億円以上で、日本政府(経済産業省)から最大4760億円の補助金(=税金)を受ける。TSMCはAppleのデバイスの心臓部となるAppleシリコンも製造する企業だ。工場誘致が決まってから、熊本県が熊本空港と熊本駅を結ぶ鉄道アクセスの整備を発表し、熊本大学が半導体学部の新設を予定するなど、熊本県は半導体関連ニュースで持ち切りだ。

 ちなみにこの工場にソニーは570億円の出資をしている。画像センサーに必要な半導体の調達網を強化する目的だ。

 さらにTSMCとは別に、ソニーGが半導体の新工場を建設する噂が流れている(熊本県合志市)。2024年着工、25年秋の稼働を目指すとみられる。ソニーGの投資額は数千億円を見込む。高価格帯のスマホ向けに大型・高画質のイメージセンサーの採用が増えるとみているほか、今後は自動運転などの車載向けも見込む。自動運転においては車の「眼」が最も重要だ。画像を正しく認識できなければ自動運転は成り立たない。自動運転・電気自動車の未来はソニー・ホンダモビリティのアフィーラ(AFEELA)にかかっている。

 まさに日本の未来に向けた半導体の投資をソニーGが牽引しているのだ。だから私はソニーGの株を買って応援している。

※本稿は、『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』南 祐貴(セカニチ)より一部を抜粋し、編集したものです

「日本株」に未来はあるか?南 祐貴(セカニチ) Koru-workers 株式会社 代表取締役 1989年東京都調布市生まれ。2012年に大手広告代理店に入社。約6年勤めて、自由になるため退職・起業。クラウドファンディング等で資金を集めて高輪ゲートウェイ駅の近くに宿泊施設「Koru Takanawa Gateway」をオープン。同時に、経済や投資をわかりやすく解説する「#世界最速で日経新聞を解説する男(セカニチ)」を開始。マイナビ・ジチタイワークス等の就活・キャリア・資産運用セミナーにて満足度90%を超える人気講師。年間のセミナー視聴者数は延べ5万人以上。各SNSで毎日発信中、総フォロワー数は10万人を超える。YouTubeしゅんダイアリー就活チャンネル等の全SNSの動画は合計4000万再生以上。著書に『世界一面白くてお金になる経済講座』『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』