3万1000円を上回った日経平均株価を示すモニターPhoto:JIJI

日本株は連日上昇し、日経平均株価は3万円どころか、一時は3万1000円を超える勢いです。とはいえ、米債務上限問題や長引くインフレ、そして米地銀の相次ぐ破綻など、リスクは多い中、「どうも買うに買えない」という人が多いのではないでしょうか。そんな中、富裕層である企業経営者は「日本株は買いでしょう」とおっしゃる方が非常に多いです。その理由はどこにあるのでしょうか。買いの要因自体は複数ありますがここでは2つに絞ってみたいと思います。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)

上場企業の創業経営者らは
日本株の成長に強気

 野村総研が発表している2021年のリサーチで1億~5億円の世帯純金融資産を保有する富裕層の1/3が企業経営者というレポートがあります。非上場企業の経営者がまさにこの層ですが、超富裕層である上場企業の創業経営者も口をそろえて日本株に強気です。これは中長期的に見て、それなりの理由があるのです。

 その理由とは「PBR1倍超えのための自社株買い」と「国策に従え」の2点です。

 以下これらについて、詳しく解説したいと思います。

 まず一つ目の理由である「PBR1倍超えのための自社株買い」についてです。PBRとはPrice Book-value Ratioの略で、株価純資産倍率と言われています。『1株当たり純資産(※)』の何倍の株価が付いているのか?という指標です。
(※)1株当たり純資産(BPS):預金や不動産などのプラスの財産から借金などのマイナスの財産を引いた差額(純資産)を発行済み株式数で割ったもの。

 数式で表すと「PBR=株価÷1株当たり純資産」になります。

 ここでPBRやBPSと出てくると読む気が失せるでしょうから(さらにPBR、ROE、PERに関してはここでは触れませんが、最低限知っておくべき話です)、もう少しわかりやすく説明します。

 たとえば某社の株価60円で1株当たり純資産が100円だとします。会社で持っている資産を全部売って解散したときに1株当たり100円の現金になる計算です。しかしその会社の今の株価は60円。これはPBRが0.6倍であることを意味します。つまり、株価60円の会社として存続するより、解散して1株当たり100円にした方がいいレベルまで株価が下がっている企業といえます。割安な会社ともいえるでしょう。