トランプ「10%新関税」移行で世界のGDPは0.3%回復、関税違憲判決で貿易赤字縮小のための“次の手”リスクホワイトハウスで開催された関税に関する記者会見で記者団に応じるトランプ大統領=2月20日 Photo:China News Service/gettyimages

相互関税「違憲」で曲がり角の関税政策
「ドル安誘導」などの新たな一手も!?

 米トランプ政権は2月24日、「違憲判断」が示された相互関税に代わって、1974年通商法122条に基づく、世界各国・地域に対する一律10%の追加関税を発動した。

 米最高裁が20日に、IEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠にする相互関税などについて、「議会の承認を得ていない関税は大統領の権限を超えている」として違法判決を下したことを受けてのものだ。

 2つの下級審では既に違法判決が下されており、最高裁判決は予想されていたが、トランプ大統領の対応は予想外だった。失効する相互関税などに替えて、「通商法122条」を根拠として新たな関税を課す大統領令に署名した。

 ところが翌21日になると突如、トランプ大統領は、追加関税を一律15%へ引き上げる考えをSNSで表明した。トランプ大統領は関税率をいつから15%に引き上げるのかについて説明していないが、世界の企業の活動に、トランプ関税は再び大きな不確実性を生じさせている。

 新関税への移行が世界の実質GDP(国内総生産)に与える影響(3年間の累積効果)を試算すると、一律10%に引き下げられる場合には+0.31%、15%に修正される場合には+0.17%の押し上げ効果となり、日本も一律10%となれば、実質GDPは1年間で0.125%押し上げられる計算だ。

 だが、最長で150日間とされる追加関税の発動期間後に、トランプ政権は新たな関税を準備しているとも報じられている。

 一方で、米国内でもこれまでの相互関税による物価上昇への批判が強まっており、トランプ政権は、11月の中間選挙への影響や議会の反応などを見ながら新たな措置を検討するとみられる。

 いずれにしてもトランプ関税の行き詰まりは明らかで、貿易赤字縮小でドル安誘導などの「次の手」が打ち出される可能性もあり、世界経済の不確実性は再び強まった状況だ。