大手町パークビルディングPhoto:PIXTA

新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は三菱地所と三井不動産、住友不動産の不動産業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

不動産業界の主要3社で
三菱地所が「独り負け」の大幅減益

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の不動産業界3社。対象期間は2023年2~6月期の四半期(3社いずれも23年4~6月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・三菱地所
 増収率:マイナス4.2%(四半期の営業収益2925億円)
・三井不動産
 増収率:マイナス2.7%(四半期の売上高5614億円)
・住友不動産
 増収率:3.9%(四半期の売上高2531億円)

 不動産業界の主要3社は、三菱地所と三井不動産が減収となった。このうち三菱地所は利益面でも苦しんでおり、23年4~6月期の営業利益が前年同期比で約4割減、純利益が約7割減と大幅に落ち込んだ。

 一方、三井不動産と住友不動産は営業利益・純利益ともに増益だった。利益面では3社の中で三菱地所が「独り負け」を喫した形だ。

 前四半期の記事でも解説した通り、23年3月期の通期決算で、三菱地所と三井不動産は売り上げ(営業収益および売上高)・営業利益・純利益がそろって「過去最高」を更新した。また、住友不動産も営業利益・純利益が「過去最高」を記録していた。

 そこから一転、23年4~6月期の決算では、なぜ三菱地所だけが急失速したのか。次ページでは各社の増収率の推移と併せて、三菱地所の業績について詳しく解説する。