KAMISEYA PARK(仮称)三菱地所が手掛ける大型テーマパーク「KAMISEYA PARK(仮称)」(横浜市記者発表資料より)

横浜市に返還された米軍施設の跡地利用を巡り、三菱地所が東京ディズニーランド規模の大型テーマパークを開発することが決まった。大型テーマパークの開発、運営を手掛けるのは初めてで、三菱地所は乾坤一擲(けんこんいってき)の大勝負に出たといえる。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

三菱地所の株価は上昇するも
業界関係者「毒まんじゅうをつかんだ」

 テーマパークの舞台は、横浜市旭区と瀬谷区にまたがる米軍施設跡地の一部である約51ヘクタールの土地。同市はこのエリアを観光の起爆剤とすべく「観光・賑わい地区」として設定し、テーマパークを核とする複合集客施設を手掛ける再開発事業者を今年2月に公募していた。

 三菱地所のみが応札し、有識者による審査を経て、横浜市がこのほど三菱地所を事業予定者として決定した。2031年の開業を目指し、開業当初は年間1200万人、段階的に年間1500万人を超える来場者を見込む。

 総事業費は未定だが、同じ規模である東京ディズニーランドの総事業費は約1800億円で、三菱地所が手掛ける横浜市のテーマパークは2000億円前後に上るとみられる。

 事業コンセプトは「世界に誇るジャパンコンテンツとジャパンテクノロジーを活用したワールドクラスの次世代型テーマパーク」。

 カタカナが多すぎて、これでは全容がさっぱり伝わってこない。つまるところ、三菱地所は具体的な中身をこれから詰めていくのである。

 それでも株式市場は好感した。三菱地所が横浜市でテーマパークの開発に乗り出すことが報道された今月14日以降、同社の株価は続伸。13日の終値1953円から上昇し、15日の終値は2079円を付けた。三菱地所が手掛けるテーマパーク事業は、同社の新たな成長材料として株式市場に評価された形だ。

 ところが、である。ある大手不動産業界関係者は、こう断言する。

「三菱地所は毒まんじゅうをつかんだ」

 いったい、どういうことなのか。

 次ページからは、横浜市のテーマパーク事業が「毒まんじゅう」とやゆされる理由を解き明かす。これまでの経緯をひもとくと、このプロジェクトは極めて難易度が高いのだ。にもかかわらず、三菱地所はなぜ乾坤一擲の大勝負に出たのか。その裏事情もつまびらかにする。