新世代のGTと名乗るにふさわしい
完成度の持ち主
話題満載のグレカーレ、今回試乗したのはエントリーグレードのGTである。パワーユニットは前述のとおり2L4気筒(300ps/450Nm)だ。電気式スーパーチャージャーの効果はてきめんで、スロットルペダルを深く踏み込めば、それこそ弾き出されるようにして加速していく。ただし、そーっと踏めばスムーズに走り出してくれるので、心配は無用。スロットルペダルの踏み加減ひとつで緩急を自在にコントロールできるドライバビリティの高さこそが、グレカーレGTの特徴のひとつである。
乗り心地は決して硬すぎないのに、ハンドリングは正確でレスポンスに優れている。この点はマセラティの伝統を受け継いだ結果だ。グレカーレは、このクラスを代表するポルシェ・マカンの対抗馬を狙って生み出されたが、マカンが主に高速域でのスタビリティを重視しているのに対して、グレカーレは得意とする車速がマカンより低いようだ。日本のワインディングロードや市街地でも実力を発揮できる点は大きな魅力になる。
インテリアは質感が高くてすっきりとしているのに、イタリアン・ブランドらしくどこか色気が漂う。もっとも、グレカーレはそうしたイタリア色に頼るだけでなく、走りの面でもドイツのライバルに負けない実力を備えている。まさに新世代のGTと名乗るにふさわしい完成度の持ち主である。
(CAR and DRIVER編集部 報告/大谷達也 写真/MASERATI)