住む場所によって年金の手取り額に差がある――。意外と知らない衝撃の事実をランキング形式でお伝えした2019年、21年の記事は大きな反響を呼んだ。そこで今回は、その最新版ランキングを作成してお届けする。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
住んでいる場所によって
「年金の手取り」は異なる!
筆者は、手取り計算が大好きな、自称「手取りすと」のファイナンシャルプランナー(FP)だ。
当連載でも、「給与収入の手取り」「年金収入の手取り」「退職金の手取り」など、さまざまな試算結果をお伝えしている。今年1月19日付のコラムでは『ねんきん定期便じゃ分からない!「年金の手取り額」試算16パターン大公開』と題して、額面年金額180万円から480万円まで16パターンの2023年版手取り額を試算し掲載した。
今回は、47都道府県の県庁所在地別の「年金の手取り額ランキング」をお伝えする。みなさんは、住む場所によって年金収入の手取り額が異なることをご存じだろうか。このことを知ると、誰もが驚く。まさに衝撃の事実といえるだろう。
年金の手取り額は、次のように算出する。
では、ここで読者のみなさんに質問。住所地によって手取り額が異なる要因は何だと思いますか。
ちまたでは「住民税は自治体によって高い、安いがある」と言われているが、これは間違い。住民税は、全国どこに住んでいても原則として同じ(均等割の非課税要件など細かい部分で違いはあるが、所得にかかる部分は全国同じ税率である)。所得税も同様に、どこに住んでいても計算方法は同じだ。
手取り額に差が出る要因は、税金ではなく、社会保険料なのだ。国民健康保険と介護保険の社会保険料は、自治体により保険料の計算式や料率が異なるため、手取り額に少なくない差が発生するのである。
今回のランキングは「額面年金収入200万円」を想定して手取り額を試算した。県庁所在地の「47自治体」で比較すると、社会保険料合計の最高額と最低額の差は年間約5万2000円にもなる。200万円に対しての約5万2000円の差は、結構な違いといえるだろう。
では早速、結果を見てみよう。