スマートフォンで家電製品の遠隔操作を可能にするPluto。専用ステーションの価格は12,800円。Amazon.co.jpでも購入できる

 いまや生活家電に欠かすことのできないリモコン。その一方で、やたらと数が増えすぎるのも困りものではある。また、「見たい番組があるのにリモコンが見当たらない」「エアコンの電源を切ったかどうか、出先で急に気になる」といった経験は、誰にでもあるに違いない。

 複数家電に対応したマルチリモコンなども販売されているものの、それ自体が行方不明になってしまえば意味がない。また近年では、外出先から家電を遠隔操作するサービスも登場しているが、システム導入にかかるコストや手間が大きく、敷居が高いのが現状だ。

 そんな悩みを低コスト、かつ、簡単に解決してくれるのが、現役大学生チームが開発した「Pluto」である。インターネットに接続する赤外線発信機器「ステーション」を室内に設置することで、さまざまな家電製品をスマートフォンからコントロールできるようにしてくれるサービスだ。

「きっかけはiPhone3Gの登場でした。大きなタッチスクリーンを見たとき、iPhoneは家電のリモコンになるのではないかと考えたわけです。スマホで家電が操作できれば、リモコンを1つにまとめられるだけでなく、“リモコンがない!”と焦ることがなくなったり、帰宅前にエアコンや照明をつけておいて、快適な状態の部屋に帰ることができる。そうした夢をふくらませて、開発に取り組むことにしました」(株式会社Pluto CEO 業天亮人氏)

 ステーションにはテレビやエアコン、BDレコーダーなどのリモコン信号があらかじめプリセットされており、それ以外の家電に関しては、赤外線リモコンを利用するものであれば、学習機能を使って利用できるようになる(すべての赤外線リモコンの学習は未保証)。家電の赤外線信号はPlutoのクラウドサーバーに保管されており、スマートフォンによる指示をステーションが赤外線信号に変換することで、遠隔操作を可能にする。ステーションをDHCP対応のルーターに接続するだけで設定が完了するという簡便さがPlutoの売りだ。

「ネットワーク機器は設定が複雑な製品が多いですが、Plutoではルーターの設定など、インターネット関係の設定が不要となるように設計しました。購入者の方々はルーター等の設定を変える必要はなく、製品裏側のシリアルキー(英数字)を入力するだけで、Plutoステーションが自動で設定を行います」(同氏)

 スマートフォンによる操作は、専用アプリではなくPlutoのウェブアプリにアクセスした状態で行う。電源のオンオフの他にもタイマー設定や、家族でPlutoを使えるようにするファミリー機能なども利用できる。

 現在は、スマートフォンによるサービスだが、今後はパソコンやタブレットなどインターネットにつながる機器なら「なんでも家電のリモコンになる」ことを目指して開発を進めているという。

 IT系ベンチャーは数多いが、Plutoの場合、ハードとそのシステムを一手に開発して世に送り出している点で、他とは一線を画しているといえるだろう。「リモコンを革新する」というサービス内容はもちろん、開発チームの今後の動向にも期待を寄せたい。

(中島 駆/5時から作家塾(R)