営業マネジメントの3つのポイント
これまで述べてきたように、営業マネジメントとは「営業PDCAサイクルを回すこと」です。すなわち、部下1人1人の「先行管理」を行い、「差額対策」を実施して、差額を埋めるための「実行支援」を行っていくことです。
これから数回に渡って、まずそれがどういうことかを説明し、続いて営業マネジメントの具体的な進め方を述べていきましょう。
【営業マネジメントの3つのポイント】
・先行管理
・差額対策
・実行支援
1つ目の「先行管理」とは、最低でも3ヵ月先から1年先くらいまでの、売上や利益などの見込み数字の見通しを立てることです。どれだけ先の見通しを立てるかは、それぞれの営業組織の営業パターンによって変わってきます(営業パターンについては次回で詳しく述べます)。
なぜ先々の数字まで見通した先行管理が必要かというと、2つ目の「差額対策」を実施するためです。差額対策とは、先行管理によって明確になった見通し数字と予算の差額をいかにして埋めるか、という対策を立てることです。具体的な差額対策がどれだけ打てるかが、営業マネジャーの腕の見せ所といえるでしょう。
さらに、差額対策を部下に実行させるために、3つ目の「実行支援」を行います。実行支援とは、部下が差額対策を実行できるように、営業マネジャーが具体的に指導したり、何らかの行動を起こすことです。
例えば、差額対策として、ある顧客のキーマンである常務を直接攻める必要が生じたとします。しかし、その部下は常務との人間関係が薄く、アポを取ろうとしてもうまくいきません。そこで、上司のあなたが同行することによって、常務とのアポが取れるように働きかけるわけです。
あるいは、新人が引き合いを取ってきて、次のステップとして技術部門のエンジニアを同行させる必要があったとします。ところが技術部門も忙しく、受注できるかどうかわからない新人の引き合いは後回しにされていたとします。この時、上司のあなたなら、社内で上手に根回しをすることによって、そのエンジニアを引っ張り出すことができるでしょう。
こうしたことが実行支援の一例です。
このように「先行管理(P)」と「差額対策(P)」を実施し、具体的な「実行支援(D)」を行った結果、「新たな先行管理(C)」と「新たな差額対策(A)」を実施し、計画を見直して実行支援につなげていくわけです。これらの活動を通して、自然と営業PDCAサイクルが回っていることがわかります。
つまり、営業マネジメントとは、「先行管理」「差額対策」「実行支援」を、営業管理帳票や営業会議を活用しながら繰り返していくことなのです。