子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では、船津氏のこれまでの著書から抜粋して、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。
簡単な本を多読させ、難しすぎる本を読ませない
前回の連載では、「読み聞かせ」について解説しました。読み聞かせの次の段階は、簡単な本の多読を通して「本を流暢に読む力」を身につけることです。
読書が苦手、読解力が低いという子どもに共通するのが読書スピードが遅いことです。
読書スピードが遅いと、読んだそばから内容を忘れていくので、読み終わっても内容をよく覚えていないのです。これでは学習内容が定着するはずがありません。
この問題を解消するには簡単な本を多読させることです。今の学年から2段階ほどレベルを下げて、簡単な本を毎日20~30分読むことを日課とするのです。
この際、最初は「音読」させると効果的です。
一方、読書嫌いという子どもの多くは「難しすぎる本」を読まされています。
子どもの読書レベルや興味に合った本をたくさん読ませなければ、活字に対する抵抗感が取れず、読書スピードが上がらず、読解力が身につかないのです。
できれば小学校低学年のうちに大量の読書経験を積むことが理想で、その量は年間10冊、20冊では足りません。100冊、200冊と読んだ成功体験が「読める」という自信になります。
そのためには、読ませる本の内容についてはとやかく言わないことが大切です。
日本では読書というとまじめな本を読まなければいけない、という雰囲気がつきまといますが、アメリカでは子ども向けのふざけた本でも読書は読書です。
中にはオムツをつけたスーパーヒーローのような下品な本もありますが、先生や父兄がそれを問題視することはありません。
本を読み始めの子どもにとって、活字に向き合う作業は多くの集中力と想像力を要するものであり、疲れることなのです。
せめて楽しみというモチベーションがなければ、読書を継続することができません。
1~2日で1冊読み終えることができる本を親が選んで、子どもに勧めましょう。
・幼児期から読み聞かせをスタートし、小学生になっても継続
・子どもが自分で読む場合、理解よりも「流暢に読むこと(スピード)」が重要
・1~2日で1冊読み終えられるくらいの難易度の本が適切
・小学校を通して数百冊の本を読むことが理想
(本原稿はToru Funatsu著『すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。』から一部抜粋・編集したものです)