「9割の人は自分の働いている会社の企業理念が言えない」
そう語るのは、これまで3500社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「誰も言ってくれないことが書いてある」と話題の著書『とにかく仕組み化』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに、仕組み化のメリットを説いた。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「できる上司」になるためのマネジメント方法を解説する。(構成/種岡 健)
「どこに向かっているか」を押さえておく
会社で働いていて、どこに向かっているかの認識にズレがないでしょうか。
何のために働いているかがわからない状態は避けないといけません。
もちろん、個人やチームの目標はあると思います。
プレーヤーであれば、目の前の仕事に向き合うことが何より大事で、その役割を果たすことに責任があります。
ただ、上司やリーダー、経営者がどこに導こうとしているかは把握していたほうがいいでしょう。
どんな会社にも「理念」はある
どんな会社でも必ず創業者がいて、社会に向けて実現したい思いや、やむにやまれぬ動機があって、事業を起こします。
その際、つくられるのが「企業理念」です。
「私たちの会社はものづくりで人々を豊かにします」
「私たちは地域ナンバーワンの建設現場を届けます」
「私たちの会社は世界中に食を届けていきます」
など、どんな会社にも「企業理念」があるはずです。
すでにある会社に新卒で入社した頃は、「とりあえず給料が目的」という考えかもしれません。
有名企業だから、大企業だから、年収が高いから……。
そういう理由で、最初は「お金のため」に働きはじめると思います。
しかし、それだけでは、仕事を続けていく醍醐味は味わえません。
人生において、もっと大事なことがあります。
「何のために生きているか」ということにも直結するでしょう。
ここがズレていては、そもそも、なぜそこで働くのかがわからなくなってきます。
いつも頭の中に在るべきもの
そこで大事になるのが、いまの会社の「企業理念」です。
ただ、あなたは「企業理念」を言えるでしょうか?
感覚的ですが、9割近くの人が「企業理念」が言えないことに私は驚きます。
「企業理念」というのはナメて扱われることが多いです。
「理念」という言葉が説教くさいからでしょうか。
特に若いときは、そういうものをバカにしているはずです。
あるいは、若手の頃はバリバリと働いていたのに、いつの間にか成長を諦めて、会社にしがみつき、企業理念のことなんて1秒たりとも考えることがない中堅社員、ベテラン社員もいるでしょう。
たしかに、日々の仕事の中で、「私たちの企業理念は○○だよね」と確かめ合うことはないでしょう。
お互い口にすることは恥ずかしいのかもしれません。
しかし、1人1人の社員の心の中には、つねに企業理念が在り続けるべきだと思います。
その下に全社員が一堂に集まっているからです。
それを知らずに働いていることは、ゴールを知らずに走っている状態と同じなのです。
(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)