世界の音楽ソフト売上げが12年ぶりにプラスとなった。
音楽業界の団体であるIFPI (国際レコード・ビデオ製作者連盟)によると、2012年の世界のCDや配信などによる音楽ソフトの売上げは0.3%増加し、165億ドルになったという。
日本でも、12年はCD生産枚数、金額とも14年ぶりにプラスとなっている。
音楽業界にとってはうれしいニュースだが、内実を見てみると、世界と日本の事情はまったくことなる。
日本でCDの売り上げが回復した背景には、アイドルが握手会などのイベントチケットも兼ねて販売したことで複数枚の購入を促したほか、桑田佳祐、松任谷由実、山下達郎、Mr.Childrenなど、CDに馴染みの深い中高年層に人気のアーティスのベスト盤が集中したことなどが理由だ。今や、日本は米国を抜き世界でもっともCDが売れている国になったのだ。
ところが、世界全体でみれば、CDは相変わらず売れていない。それでも、市場が回復したのは、デジタル分野が成長したためだ。
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IFPIのリポートには、各ジャンルの売上げが記載されている。それによると、CDなどのパッケージメディアは減少しているのに対し、デジタル関連の売り上げは順調に伸びている。AppleのiTunesや、ヨーロッパではiTunes以上に人気のSpotfy(スポティファイ)などの売上げが、貢献しているのだ。
欧米20ヵ国で展開しているスポティファイの無料会員は2000万人に上り、有料会員は500万人と5人に1人が有料会員だ。欧州での音楽ソフトの年間平均売り上げは、国民一人当たりCDアルバム1~1.5枚分だが、スポティファイの会費をCDの売り上げに換算すると、無料会員込みでも、一人当たり4~6枚分になる(詳細はコンサルタントの榎本幹郎氏のMUSICMAN-NETでの連載を参照 )。