『役所窓口で1日200件を解決! 指導企業1000社のすごいコンサルタントが教えている クレーム対応 最強の話しかた』の著者でクレーム対応のプロ、山下由美さんがこれまでにない画期的なクレーム対応の話しかたを初公開。「怒鳴る」「キレる」「自分が正しいと言い張る」「理詰めで責める」「言い分が見当違い」「多人数で取り囲む」「シニアクレーマー」などあらゆるお客さまからのクレームを、たったひと言「そうなんです」と言わせるだけで解決します。(初出:2019年10月10日)
「水かけ論」に持ち込まないことが重要
お客さまとの間で「言った」「言わない」で揉めそうになっても、スタッフ側から「言っていません」「そんなこと誰が言いましたか?」などと返答するのは禁物です。
お客さまが「言った」と思い込んでいるのに、こちらが「言っていない」と繰り返しても時間の無駄です。「このわからずや!」と文句の一つでも言いたくなるかもしれませんが、「言った」「言わない」の水かけ論は何の役にも立ちません。
もともと「人は自分の都合のいいように話を聞く」ものですし、こちら側に誤解を招くような説明があった可能性も否定しきれません。お客さまとの間に解釈の食い違いが出るのは当たり前のことだと達観して、熱くならないようにしましょう。
私の編み出したクレーム解決法の「超共感法」は、クレームのお客さまに「そうなんです」(YES言葉)と言わせるための声かけをして、こちらを味方として認識してもらうことからスタートしますが、その際にお客さまの感情をきちんととらえていると、早く「そうなんです」のひと言を引き出すことができます。
ですから、水かけ論になりそうなときに「そうなんです」と言わせるのに効果的なのは、まずは「そのようにお聞きになったのですね」と、水かけ論に持ち込まないことです。お客さまの解釈を受けとめつつ、続けて「ご不便をおかけして申し訳ありませんでした」と、対象を限定して謝罪の言葉を伝えることです。
「ご不便をおかけして」はお客さまの気持ちを代弁したものですから、十中八九、YES言葉を引き出せるでしょう。
そのうえで、「今できる最善の策をお話しさせていただいていいですか?」と、解決に向けて話を進めましょう。