コンサルタントとして自社だけでなくクライアント先の採用活動にも携わってきた安達裕哉氏は、クライアント先の社長の「面接官の面接」に同席した時のことを今でも思い出すことがあるという。その面接で社長が最後に放った質問がその人の「器の大きさ」を見極める、本質的すぎる質問だったからだ。「今年1位かも」「ぶっ刺さりすぎて声でた」と話題沸騰中の安達氏の書籍『頭のいい人が話す前に考えていること』は、話し方を鍛えることよりも、話す前に考えることの重要性を「考えている人」「考えていない人」の具体例を交えながら分かりやすく説く。本稿では、本書には入りきらなかった目の前の人の器の大きさを見極める目からウロコの質問を紹介する。(構成/淡路 勇介 初出:2023年7月8日)
人は基本的に「自分と同じレベルの人」しか採用できない
クライアント先の社長にお節介なのは承知で
「今の面接官だと、なかなかよい人が採れないかもしれません」
と進言したことがある。
なぜなら人は基本的に「自分と同じレベルの人しか採用できない」からだ。
本田技研工業の創業者・本田宗一郎氏は「どうだね、君が手に負えないと思う者だけ、採用してみては」と採用担当者に助言したそうだ。
これは、人間は一般的に「自分の手に負える人間だけを採用する」ことを意味する。
つまり、優秀な人にしか優秀な人は採用できない。採用の質をあげるには、面接官の質をあげるしかない。これが真実だ。
では、「自分たちより優秀な人を採用して会社・組織を成長させたい」と思った場合どうすればいいだろうか?
それは、自分より優秀な人を採用できる“器の大きい人”に面接官をやってもらうしかない。では、面接官の器の大きさを見極めるのには、どうすればいいか?
「面接官の面接」に同席した時の話
話を戻そう。
私からの「今の面接官だと、なかなかよい人が採れないかもしれません」という進言にその社長は、
「それは知っている。今年は彼等の適性を確かめてから、面接官に登用する」と言った。
私は思わず、「適性ですか? どのように確かめるのですか?」と聞いた。
社長は、「では一緒にお願いします。ちょうどこれから適性を確かめる面談だから。」と言い、私をその場に残した。
――*――
そして10分後、一人の役員が入室した。
私は、「どんな質問をするのだろう?」と、期待していたのだが、意に反して、社長は役員に当たり障りない質問を投げかける。
「どんな人を採りたいか?」
「応募者の何を見るか?」
「どんな質問をするか?」
そういった、ごく当たり前の話だ。
応募者もそういった質問は想定済みらしく、当たり障りない回答、模範的な回答を行う。
私は「どうしてこれで適性がわかるのだろう…」と、不思議だった。
だが、社長は最後にこう質問した。
その質問が、人間の本質をついた、目から鱗の質問だった。
この質問は、面接官でなくても使える。
器のデカい上司の元では部下は成長するし、
器のデカい部下がいるチームは活性化する。
器の大きい親に育った子は、人間的に大きな人に成長するだろう。
ぜひ、周りの人にこの質問をぶつけてみてほしい。