交渉を行う際には、相手に「この人はデキる人だ」と思わせ、信用してもらったほうが何かと有利に進められます。逆に、「私は専門家で、そのことには詳しいですよ」というので信じて頼った相手が、本当は違ったらどうでしょうか? 書籍『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』の著者が、初対面の相手が本当に信用していい人なのかを見破る質問と、初対面の相手に信頼してもらう方法を伝授します。(教育コンテンツプロデューサー/株式会社士教育代表取締役 犬塚壮志)
「こんなはずじゃなかったのに」
なぜ簡単に初めて会った人を信じてしまうのか
「こんなはずじゃなかったのに……」
毎日のようにネットや新聞、テレビでは詐欺関連のニュースが報じられ、被害者の嘆きが紹介されています。おそらく、事件にならない程度の詐欺被害は、数え切れないほど発生しているはずです。
気を付けているつもりでも、人はだまされてしまうことがある。それは、なぜなのでしょうか?
お恥ずかしい話ですが、実は私自身も、人の肩書や実績などによくだまされてきました。特に独立直後は本当に世間知らずで、
「◯◯(有名)大学出身」
「元◯◯(大企業)に勤めていて」
「本を書いている(過去にベストセラーを出している)」
「年収◯円稼いでいる」
「◯◯(著名な人)と知り合い」
などと言われると、安易にその人を信用してしまっていました。その結果、詐欺被害とまでいかないものの、仕事で何度も痛い思いをしたものです。
初対面での印象、相手の肩書や、ちょっとしたうわさ話だけでその人のことを信用し、あとで「こんなはずじゃなかったのに……」と、がっかりする。そんな経験の原因の一つとなっているのが、対人関係に大きな影響を与える「ハロー効果」と呼ばれるバイアスです。
今回は交渉や対人関係において「自分の身を守る方法」という視点から、ハロー効果への対策を解説していきます。