元エンジニアのリン・デービスさん(67)は自分がソーシャルメディアで名声と富を手にするとは思ってもいなかった。ソーシャルメディアに出会ったのは2020年春。新型コロナウイルスの世界的大流行の最中で、家族とニュージャージー州ホームデルの自宅で待機生活を送っているときだった。ある日、息子のティムさん――映像作家で失業中だった――が料理の短編動画撮影を手伝ってほしいとデービスさんに声をかけた。制作と編集の技術が鈍らないように仕事をする必要があったとティムさんは言う。楽しいだろうとも思った。母と息子は30日間で30本の短編動画を制作し、ユーチューブに投稿した。そのひとつ一つがデービスさんの独特のユーモアのセンスと料理の技術、ティムさんの動画制作の技術を披露する場となった。