写真:年末調整の書類Photo:PIXTA

払い過ぎた税金を取り戻せることが多い「年末調整」。大事な作業だが、よく理解しないまま書類に書き込んでいる人も多いだろう。よくある「書き漏らし」のミスを紹介するので、自分は税金を払い過ぎていないかチェックしてほしい。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

控除の申告漏れをすると
税金を多く払うことになる

 今年も「年末調整」の時期がやってきた。会社員、公務員にとっての年中行事であるが、用紙の小さな字を読み、狭い記入欄に漏れなく個人情報を書き込むのは決して楽しい作業とは言えないだろう。

 しかし、正しく記入して期限までに勤務先に提出しないと税金を多く払うはめになるため、ちゃんとやるしかない。それならば、「年末調整」という面倒な作業を、「税金を少なくするためのイベント」と考えてはどうだろうか。今回は、年末調整で損をしないためのコツを紹介したい。カギとなるのは、「控除の申告漏れ」である。

 年末調整とは、ごく簡単に言うと「1~12月までの1年間の所得税の過不足を精算する手続き」のことである。

 毎月の給与とボーナスから天引き(源泉徴収)されている所得税は、収入や扶養家族の人数を基に概算で計算されている。年末調整では「その他の個別事情」を考慮して、その年の正確な所得税額を算出する。

 算出された所得税額が、源泉徴収された所得税の合計額より少ないと、払い過ぎた税金は12月の給与で還付金として戻ってくる。反対に年末調整で足りない所得税が給与から引かれるケース(ボーナスの金額が多い人など)もあるが、全体で見ると「還付」のケースが多い。

 税金の言葉で絶対知っておきたいのは、「控除」の意味。控除とは「引けるもの」、つまり税金の計算上の「非課税の枠」と考えていい。本来使えるはずの控除の申告をしないと税金は多くなるので、漏れなく使いたい。