1年前の冬はコロナ禍でマスクをする人がほとんどだったが、感染拡大は落ち着きを見せ、社会は元に戻ってきた。しかし、円安、物価高などといった問題が収束する気配はない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はSGホールディングス、ヤマトホールディングスの「物流」業界2社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
佐川急便は1割超の減収
課題だらけで値上げ続く
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の物流業界2社。対象期間は2023年5~9月期の四半期(2社の対象期間はいずれも23年7~9月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・SGホールディングス(佐川急便)
増収率:マイナス10.8%(四半期の営業収益3249億円)
・ヤマトホールディングス
増収率:マイナス2.9%(四半期の営業収益4464億円)
物流業界の主要2社はともに減収で、特にSGホールディングスはマイナス10.8%減という2桁減収だった。
急激なインフレの影響や、24年4月から適用されるトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制、いわゆる「2024年問題」が間近に迫っていることから、物流業界では値上げや業務効率化の動きが激しくなっている。
次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、業績について詳しく解説する。