日銀、10月決定会合でも「緩和維持」
マイナス金利の解除は来年4月?
日本銀行は10月の金融政策決定会合でも、イールドカーブコントロール(YCC)運用の再柔軟化を打ち出したものの、大規模緩和策の枠組みは維持することを決めた。
日銀は2%物価目標の実現が見通せる状況になれば、マイナス金利の解除を検討するとしている。植田和男総裁は年内にそうなる可能性も否定していないが、実際には早くて来年4月ではないか。
そう考える理由は三つある。
第一に、日銀は賃上げの持続性をしっかり確認したいはずだ。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比上昇率はすでに18カ月連続で2%を上回っている。
しかし、物価上昇の中期的な持続性については賃金が鍵を握る。日銀は来年の春季労使交渉の結果が出始める3月頃まで、物価や賃金を巡るデータや情報の精査を続けるだろう。
第二に、来年4月の展望レポートから物価見通しの対象期間が2026年度までになる。「2%物価目標の実現が見通せるようになった」と説明するには良い機会になる。
第三に、政府のデフレ脱却宣言がどうなるかだ。10~12月の需給ギャップが確認できるのは来年2~3月であり、政府のデフレ脱却宣言はその頃までずれ込む可能性が高い。
ただ来年4月まで待っても、2%物価目標実現が見通せる状況にならない可能性もある。最大のポイントは個人消費が強くなるかどうかだ。